ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も

ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も - © Amazon Content Services LLC© Amazon Content Services LLC

昨年8月にアメリカのテルライド映画祭で世界初上映され、公開が待たれていた『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が、2月27日よりPrime Videoで配信開始されることが発表された。

予告編はこちら。

本作は、サー・ポール自らが製作総指揮を務めたドキュメンタリーで、これまで未公開だったホームビデオや音源をはじめ、貴重なアーカイブ映像、ライブ映像などを多数使用している。監督は、モーガン・ネヴィル(『バックコーラスの歌姫たち』)だ。

私はまだ本編を観られていないのだが、プレスリリースによると本作は、「ビートルズ解散後、ポールが迎えた大きな転換期と、新たに結成されたバンド=ウイングスの台頭を描く、激動の10年間を捉えた作品」とされている。

ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も - pic by Linda McCartneypic by Linda McCartney

さらに、ポール本人をはじめ、リンダ・マッカートニー、メアリー・マッカートニー、ステラ・マッカートニーへのインタビューに加え、ウイングスの元メンバー、ショーン・オノ・レノン、ミック・ジャガー、クリッシー・ハインドらの証言を通して、この時代を率直かつパーソナルに描いた作品でもあるという。

ビートルズの解散、ジョン・レノンとの関係、1980年の“幻の来日”、そして同年12月に起きた悲劇的な出来事まで——濃密な10年間を、ポール自身の言葉で振り返る内容とされており、注目作であることは間違いない。

なお配信に先駆け、2/19(木) TOHOシネマズ シャンテほか全国1日限定上映も決定。上映劇場の詳細は以下を参照してほしい。

https://www.culture-ville.jp/manontherun

さらに、同日、TOHOシネマズ シャンテにて、和田唱 × 藤本国彦によるトークイベントも開催される。チケットは現在発売中だ。

https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/081/TNPI2000J01.do

テルライド映画祭の際に、監督が今作について語ったインタビューがあるので、内容を要約したい。
https://www.indiewire.com/features/interviews/paul-mccartney-morgan-neville-telluride-interview-1235148953/

⚫︎映画に流れるテーマについて。

「今作について、最初に考え始めたとき、まず読んだのが、ポールが初めて受けたあのインタビューでした。ビートルズはもう終わった、ということを明かしたQ&Aです。記者たちにそのQ&Aを配っている女性の姿も印象的で。そして最後の質問がこうなんです。『次は何をするつもりですか?』。それに対して彼は、『僕の計画、唯一の計画は、大人になることだ』と答えている。
それを読んで、僕は思ったんです。『これこそが、この作品を始めるための問いだ』と。17歳の頃からビートルズとして生き、宇宙の彼方まで行って戻ってきたような存在の“四分の一”だった人間にとって、『大人になる』とはどういうことなのか。そんな巨大な存在の余波の中で、いったいどうやって“ひとりの人間”として生きていくのか。その問いに向き合いたかったんです」

ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も - pic by Linda McCartneypic by Linda McCartney

⚫︎ビートルズはインタビューが難しいことで有名ですが。今回、これまでとは違うポールを引き出せている、と感じた瞬間はありましたか?

「そうだと信じたいですね。彼が何かに興奮すると、たとえば自宅でインタビューしていたときなんかは、突然ピアノのところに走っていって、弾き始めたり、いろいろ見せてくれたりするんです。それから、フェラ・クティと一緒にハイになった話を延々と語り出したりもして(笑)。彼をある種の“モード”に入れてあげることができたのは大きかったと思います。

それに、リンダについて、ここまで深く語るのは何十年ぶりかだったはずです。実はこの映画を、2週間前に初めて上映したばかりで、彼は家族と孫たちだけの小さな試写会を開いたんです。そこに僕の妻と息子も招いてくれました。孫たちはみんな僕の目の前に座っていて。するとステラの息子が、『おばあちゃんの声を聞いたのは初めてだ』と言ったんです。それが胸に強く突き刺さりました。さらに別の孫が、『おじいちゃん、刑務所に行ったことがあるの?』と言っていて……あの瞬間も、忘れられないですね」

⚫︎物語をリンダの死のところまで描く、という考えはありましたか?

ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も - pic by Clive Arrowsmithpic by Clive Arrowsmith

「常に意識していたのは、あの10年間と、『マッカートニーI』『マッカートニーII』という“ブックエンド”でした。つまり、ビートルズを去ることと、ジョンの死。そして、ビートルズから逃れるように距離を取り、その10年のあいだに彼が何をしていたのか、ということです。リンダの死についても、もちろん考えましたし、実際に扱うことも検討しました。でも、どこか余分に感じられたんです。というのも、この時代のあとも、リンダはさらに17年生きているわけで。

ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も - pic by Tom Hanleypic by Tom Hanley

実際に完成した映画をポールに見せたとき、彼はこう言ってくれました。『映画の最後で、リンダをあの形で残してくれて本当に良かった』。その言葉で、判断は間違っていなかったと思えました。

これは、つい数週間前にあらためてポールと話していて、少しずつ腑に落ちてきたことなんですが、映画の冒頭で彼が語っているように、『みんながすべてを俺のせいにしたとき、自分は“悪者”なんだと思い込んでいた』んです。彼はそれを内面化してしまっていた。『レット・イット・ビー』の時期、そしてバンドを訴えることになったあの出来事は、本当に痛みを伴う経験でした。でも、『ゲット・バック』(『ザ・ビートルズ:Get Back』)のプロジェクトは、彼の中で何かを開いてくれた。すべてが悪かったわけじゃない、と思えるようになったんです。誰もが『あの時期は最悪だった』と言ってきたけれど、実際はもっとずっと複雑だった。そこには愛もあれば、緊張もあった。その気づき、つまり“自分を赦す”プロセスこそが、この映画が生まれた理由でした。

もしあの時期が、そこまで悪いものじゃなかったのなら——じゃあ、自分が長いあいだ意識の外に追いやってきた、もうひとつの時代についても、向き合ってみるべきなんじゃないか。そう思えるようになったんです。それが、50年経った今もなお続いているという事実自体が、本当に驚くべきことだと思います」

⚫︎ここに並行して描かれているもうひとつのラブストーリーは、言うまでもなく彼とジョンの関係ですよね。『ゲット・バック』という体験が、彼がジョンとのことを語る力を開いた、という部分はあると思いますか?

「『ゲット・バック』は、公開されてすぐに夢中で観たんですが、そこから伝わってくるのは、彼の中に今もなお確かな愛があるということなんです。それは、ジョンが彼の日常の中に、毎日存在していると言っていいほどで。誇張ではありません。彼がジョンのことを毎日、あるいは一日に何度も考えていることに、僕はまったく疑いを持っていません。

だから彼にとってジョンは、遠い過去の存在ではない。今も手放さずに抱え続けている、大切な存在なんです」

⚫︎アーカイブ映像について。

「数えきれないほどあります。ポールは本当にすごいアーカイブを持っているんです。彼は写真家と結婚していましたから、それも大きいですね。リンダが残した、あの10年間すべてのネガがあるんですが、信じられないほど素晴らしい。

この映画には、これまで一度も世に出たことのないものが本当にたくさんありますし、当時のプレスがポールをどう語っていたか、そういう細かな断片もたくさん残っている。

個人的に好きなのは、記者がキャヴァーン・クラブに戻って、若いパンクの女の子にビートルズについてインタビューする小さなクリップです。でも一番なのは、やっぱりホームムービーです。あれほど自分たちのことを記録する人がいるでしょうか? 今ならスマホで当たり前のようにやりますけど、当時はポールが16ミリカメラで撮影しているんです。そして、リンダが、そのポールが撮っている姿を写真に収めている。そういう瞬間が映っているんですよ」

ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も - pic by Linda McCartneypic by Linda McCartney

⚫︎この映画には、実際に曲が組み立てられていく瞬間を捉えた、本当に素晴らしいショットがたくさんありますよね。スタジオの中で、試行錯誤しながら音楽を形にしていく過程が見えてくる。ああいう場面は、意識的に探していたものなんですか? どれくらい“舞台裏”を入れたいと思っていましたか?

ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も - pic by Linda McCartneypic by Linda McCartney

「ああいうシーンは、完全にオタク的に好きなんです(笑)。スタジオでの雑談を聞くのも含めて。リアルタイムで、彼が頭の中で音をオーケストレーションしていくのが聞こえてくる。それこそが、彼がポール・マッカートニーたる所以ですよね。映画の中には、本当にたくさんの曲の断片が出てきます。僕はビートルズも大好きだけど、子どもの頃にリアルタイムでアルバムを出していたのはウイングスで、実際にお金を出して買っていたのもウイングスの作品だった。だから、ウイングスが大好きなんです。あの10年間には、実はすごく面白くて、良い仕事がたくさんあるのに、あまり語られてこなかった。彼は10年で10枚のアルバムを出しているんですから」

ポールといえば、最近発表されたサム・メンデス監督の超野心作がある。ビートルズを題材に、4人それぞれの視点から4本の映画を制作するという前代未聞のプロジェクトで、その4人を演じる俳優たちの写真が、今回初めて公開された。公開は2028年4月、4作品同時が予定されている。

ポール・マッカートニー:ポール・メスカル
リンゴ・スター:バリー・コーガン
ジョージ・ハリソン:ジョセフ・クイン
ジョン・レノン:ハリス・ディキンソン

この写真を見る限り、最も“変身”しているのはハリス・ディキンソンだ。

正直、4本も同時に作るという試みには不安の方が先に立つ。しかしキャストは、現在のイギリス映画界でも屈指の才能を誇る若手俳優たちだ。あとは、すべてがサム・メンデスの手腕にかかっている。期待と不安を抱えつつ、楽しみに待ちたい。

ポール・マッカートニー自身が制作総指揮。ザ・ビートルズ解散後の10年を描くドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月27日によりPrime Videoで独占配信。1日限りの劇場公開も - © Amazon MGM Studios© Amazon MGM Studios
『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』(原題:Man on the Run)

タイトル:『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』

配信開始日:2026 年 2 月 27 日(金)より世界配信開始
監督:モーガン・ネヴィル
製作総指揮:ケイトリン・ロジャース、ポール・マッカートニー
プロデューサー:モーガン・ネヴィル、クロエ・シモンズ、メーガン・ウォルシュ、スコット・ロジャー、ベン・チャペル、
ミケーレ・アンソニー、デビッド・ブラックマン
製作:Amazon MGM スタジオ
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