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TVアニメ『うるわしの宵の月』のOPとEDを飾る2曲。洒脱なスウィングを見せる“うるわし”も、アコギが初夏の風のように吹き渡る“アザレアの風”も、よく聴けばいつも通りテクニカルに3ピースの妙を体現しているのだが、その仕上がりはいつになくラフ。演奏はまるで美しい額縁のように、ボーカルは気の利いたナレーションのように、『うるわしの宵の月』という作品を輝かせることに徹している。それもそのはず、田淵智也は原作・やまもり三香の大ファン。これまで「勝手に主題歌」を作ってきた田淵が、ついに正式に手にした愛の結実なのだ。その象徴が“うるわし”のサビ終わりで斎藤宏介が色っぽく呟く《なんちゃって》のひと言。これは5年前、やまもりと対談した田淵が、『うるわしの宵の月』を音楽にするとしたら歌詞に入れると語っていた言葉である。コメントでは「巡り巡ってこんなことになってしまいました」なんて言っているが、出会いのすべてを物語へと束ねてしまう、その伏線回収力こそがストーリーテラー・田淵智也の真骨頂だ。(畑雄介)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年3月号より)
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