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iVyの新作は両A面シングル。宅録からスタジオレコーディングへと制作環境の変化を経て、そのサウンドは予想以上の広がりを見せる。リアルな情景と幻想的な心象風景とを並行して描写するような“ふたごのライカ”は、ポストロック、シューゲイズ、スポークンワード、アンビエントと、楽曲のセクションごとに音像が猫の目のように変化していきながら、緻密にして大胆なエンジニアリングがひとつの物語として見事にそれを纏め上げる。他者との関わりの中で生じる期待と歪み、あるいは執着と諦念という相反するものを、音と歌とが同時に描き出していくのだ。抽象と具象が同時に立ち現れるこの蠱惑的な世界観はマジックリアリズム的ですらある。もう一方の“セプタム”は自由連想的な歌詞が渇いた焦燥を感じさせ、絶望と希望を同時に抱えて踊るような、不思議な解放感に満たされる。iVyのこのファンタジックな表現にこそ、ピュアな人間らしさを感じてしまうというのもまたアンビバレント。この音楽世界はちょっとほかにない。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年7月号より)
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