海外では「いたよね、00年代初頭を飾った一発屋」として歴史の片隅に追いやられているアンドリュー兄。しかし彼のとことんハイ・エナジーな音楽と伝道師キャラは一部に熱烈な支持者を集めているし、リー・ペリーのプロデュース、朗読パフォーマンスなどアーティスティックな幅は確実に広がり続けている。そんな彼が挑戦したのが、今年30周年のジャパニメ金字塔『ガンダム』をテーマにしたコンセプト作品。主題歌“翔べ！　ガンダム”他、日本語タイトルも眩しく、歌詞も忠実に英訳してある。しかし生真面目な音楽ファンからは「なんじゃこれ？」と笑われるのがオチだろう。ガンダム・ファンじゃないと作れない１作である。

制作に至るいきさつはよく分からないにせよ、「アンドリューならあり得る」となんだか納得できてしまった。しかも、聴けばロボット・アニメ音楽特有のテンションの高さ＆劇画調なパッションがアンドリューの過剰な世界観と違和感なく調和している。ある意味すごい話。企画モノで２枚目はないのだろうけど、サンライズ作品の主題歌カバー（ザブングルとか絶対ハマる）で１枚作ってくれてもいいかも？（坂本麻里子）