まずこのアルバムについては、今のところ2009年最強の秒殺アンセム“レインドロップス”収録という時点で絶対に手に入れるべき。セカンド・シングルの“フィーリングス・ゴーン”もこの人達ならではのいなたさと渋さがあって最高だし、ニューほにゃららとか、エレクトロ云々とか、そういう党派性を超えて、万人にキく殺傷力を持っている。全部が全部アゲアゲというわけではないが、クオリティについては間違いがあるわけがない。というより、問題なのは、既に10年以上のキャリアがあるのに、なんで今になってこんなすごいことになってんのよ、ということだろう。これまでの4枚だって1枚もハズシはないわけだが、それにしたって、という話だ。
と思ってたら、rockin'on2009年10月号のインタビューを読んで、やっと分かった。やっぱり傷があったんだな。これまでのベースメント・ジャックスの音楽にはいつも開き直りがあった。そんなこと言ったって、楽しんじゃいましょうよ、という、どこかポン引き的なノリがあって、それがある種のいかがわしさも生んでいたのだが、本作については、いろんな面倒やら理不尽やらを抱え込んだ結果、もうこんなの楽しまずにはいられないという、そんな境地に達している。だから、“スカーズ”だし、“レインドロップス”なのだ。後半には内省的とは言わないまでも、かなり渋い曲が入ったりしていて、これまでの作品でも最も人間くさい部分が出ている。だからこそあれだけアンセムが輝くのだ。フジ・ロックで観たのもまさにそんな光景だった。(古川琢也)