マシーンからダイアモンドへ

マリーナ・アンド・ザ・ダイアモンズ『ザ・ファミリー・ジュエルズ』
マリーナ・アンド・ザ・ダイアモンズ ザ・ファミリー・ジュエルズ
加工力、アレンジ力、プレゼン力が問われたUKエレ・ポップ女子勢が落ち着きを見せる一方で、素材力と言うかよりプリミティブな才能の輝きが前に来ているという意味でフローレンス・アンド・ザ・マシーンの後継者の筆頭に位置するのがこのマリーナ・ディアマンテスだろう。アルバム全編に亙ってシンセを多用しているものの、作法はピコピコしたエレ・ポップのそれではなく、インダストリアルやゴスにこそ本流を見出すようなアクの強さが彼女のサウンドの魅力だ。躁鬱気味にアップダウンする曲ごとのテンションといい、何かに憑かれたかのように空気を震わせていくエキセントリックなボーカリゼーションといい、ケイト・ブッシュを引き合いに出されるのも納得の個性の持ち主で、ウェルメイドなポップを量産するUK女子勢とは一線を画す、むしろポップの枠組みをぶち壊していく野放図に可能性を感じる。ギリシャとウェールズの血を引くマリーナの出自も、イングランド主導のUKポップの規格を予め逸脱する契機となっているのではないか。等身大の「女の子」とは程遠い、聴く者の想像力の逸脱を促すスペシャルな個である。(粉川しの)
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