無国籍メロディの弾幕

ゴーゴル・ボルデロ『トランスコンチネンタル・ハッスル』
ゴーゴル・ボルデロ トランスコンチネンタル・ハッスル
08年フジ・ロックでの初来日においては、ほとんど予備知識を持たなかった僕のようなオーディエンスまで熱狂の渦へと叩き込み、その年のフジ・ベスト・アクトの呼び声も高かったゴーゴル・ボルデロ。昨年のサマソニにも登場したこのNY出身の異文化混成/男女混成バンドは、まさしくロック・フェスの必殺請負人チームである。現在はメンバーの際立った個性が注目されて、特にフロントマンのユージンはマドンナの初監督映画作品で主役に抜擢されるなど、様々な分野での活動も目立っている。本作は彼らの通算5作目となるアルバムであり、スピード・フォーク/フォーク・パンク・シーンの決定打となり得る作品だ。サンバやレゲエといったリズムの多彩さもさることながら、バイオリン、アコーディオンが織り成す、フォルクローレがいつの間にかアイリッシュ・トラッドにすり替わるような無国籍メロディの波状攻撃。それが圧倒的な勢いで押し寄せる。以前の作品では、スティーヴ・アルビニがレコーディング・エンジニアを務めていたりして、音の生々しい響きを封じ込めてゆく傾向にあった。しかし今回はリック・ルービンがプロデューサーを務めており、整合性が高くバランスの良い作品を目指している。ゴーゴルの場合、ライブ感を追求しようとしても実際のステージの興奮には到底敵わない気がするので、本作はレコード作品としてのトータルな完成度でアピール出来るポイントが多いと思う。初夏までは既に世界中を駆け巡るツアーで予定が埋まっているが、どうだろう。今年も日本の夏フェスで一暴れしてはくれないだろうか。(小池宏和)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on