変則的ベスト収録の土屋昌巳プロデュース曲“テキーラ！テキーラ！”のいたずらなステップを踏む、心地好いダーティーさとキャッチーさ。CMソング“青空”の、センチメンタルむきだしのまっすぐなメロディに貫かれた、軽やかな良曲ぶり。まさかのアイゴン加入もあり、バンド名もすっきりさせ、何の武装もないシンプルな自由期にずっぽりと突入した感のあるHiGE。ニューシングルは、なんと奥田民生プロデュース。

“サンシャイン”は、民生の存在を大いに感じる雄大なスケール感と、HiGEの厭世的なドリーミーなトリップ感がうまく溶け合っている。とにかくメロディがクリアーで、深く沁みる。“オニオン・ソング～”は、根岸孝旨と須藤寿のデュエット曲。7人の小人がはしゃいで歌っているように無邪気、でもヘロヘロでドラッギー。セルフの“エルビス・ヘンドリックス”は、無意味に遊びまくる甘い毒のあるカオス曲。好きなように色とりどりの空気を吸収し、軽やかにアウトプットできる今のHiGEは良い。須藤は「次作は最高傑作になる」と断言しているが、その発言が真実味を帯びてきた。（小松香里）