デビュー15周年企画のカバー・アルバム。とり上げられているのは、荒井由実、薬師丸ひろ子、アレサ・フランクリン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、七尾旅人、“蘇州夜曲”など。ニュー・ミュージック、アイドル・ポップス、ロック、映画主題歌、古い昭和歌謡など、国内外の広いジャンルから選曲されている。なかでも聞きものは、HISの“夜空の誓い”だろう。UAが坂本冬美役、甲本ヒロトが忌野清志郎役を務め、HISのメンバーだった細野晴臣がベースを弾いている。また、オリジナルは子どもが喜ぶにぎやかさだったピンク・レディー“モンスター”をアコースティックかつエレガントな演奏にしていたり、テクノだったビョーク“Hyperballad”を密林の民族音楽のように変えていたり、各曲に施されたアレンジの意外性も面白い。

カバーした曲のもともとの方向性はバラバラなのに、UAの歌声の個性と、音の隙間を活かした細やかなアレンジの美学によって一貫性のあるアルバムになっている。様々な要素が溶けあい、「UA」というジャンルに統括されている。その包容力は、モンスター級。（遠藤利明）