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昨年、バンド結成10周年の節目を迎えたmoon drop。10年間ラブソングだけを歌い続けてきた彼らだからこそ見える景色が、このアルバムには広がっている。《あからさまで辛くて痛くて涙味の毎日や/色恋沙汰が襲ってきても/触らず そのこころに触れたい》というフレーズが新たな宣言のような“僕らのラブソング”に始まる今作は、恋愛というよりもその向こうにある人間を真正面から歌っているように聴こえてくる。終わらない青春を託すような“「消しゴム貸して、 ありがとう」”に、前作に収録されていた楽曲の続編となる“ダダII”、《化けの皮が剥がれ落ちた後の/本当の気持ちが欲しかったんだ》という言葉が恋の奥底の本音を浮かび上がらせる“スーパームーン”。どの曲も甘酸っぱかったり切なかったりする恋の情景を描きながら、そんな厄介な思いを糧にしながら日々を生きていく人の姿を浮かび上がらせる。前作よりもソリッドになったと感じるサウンドも、アルバムタイトルとは裏腹な今作の深みをよく表現していると思う。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より)
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