今年4月、SUPER BEAVERは結成20周年の節目を迎える。この原稿執筆時点ですでに発表されている5月の国立代々木競技場第一体育館でのFCライブ、6月のZOZOマリンスタジアムワンマンをはじめ、未発表のものも含めていろいろとスペシャルな企画が控えているらしい。とはいえ、根本的な部分で、彼らのやることは20周年だろうと50周年だろうと変わらないだろう。日本中をまわってあなたの目の前でライブをやり、新たな曲を作り、それをまたあなたのもとへ届けに行く。SUPER BEAVERは20年それだけをやり続けてきた。それはこれからも決して揺らぐことのないこのバンドの行動原理だ。しぶとく普通に頑張っていった末、天才とかカリスマって言われてるような人間をバッタバタ倒していく姿は超痛快だと思う。俺はやっぱりそれをやりたい(渋谷)
だが、というかだからこそ、SUPER BEAVERは変わり続けている。もっとあなたの近くで、もっと多くの人と一緒に音楽をやるために。改めて、昨年行われたツアー「都会のラクダ TOUR 2024 ~セイハッ!ツーツーウラウラ~」、そしてそのファイナルとなった12月の日本武道館公演は、そうしたビーバーの変化をはっきりと見せてくれるものだったと思う。彼らの音楽に触れる人の数が増え、数々のタイアップを通してその楽曲が広がっていく状況の中で、彼らはその全員、一人ひとりと真正面から向き合い、今まで以上に密で近いコミュニケーションを作り上げていくことを決めた。ホール規模でも文字通り全国津々浦々を巡るというツアーであり、僕が武道館で目撃した、ステージ上の4人と客席にいる全員での熱い「共同作業」とでもいうべきライブのあり方だったのだ。行動の原理は変わらずとも、その精度や解像度はどんどん高まり、それによって史上最強に大きく、そして「近い」ロックバンドとして唯一無二の存在感を放っている──つまりそれが、20年をかけてたどり着いた、SUPER BEAVERの現在地だ。
今回の取材では、そんな現在のSUPER BEAVERが捉えている「距離感」を解き明かそうと考えた。ライブの現場に、テレビの画面に、そして最新曲“涙の正体”に表れている「近さ」の「正体」に迫る全員インタビューだ。
インタビュー=小川智宏 撮影=TAKAKI_KUMADA
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より抜粋)
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