天国を描くことで天国を感じさせ、地獄を描くことで地獄を垣間見せる表現者は珍しくないが、天国を描けば無間地獄を、地獄を描けばまだ見ぬユートピアを現前させる表現者は、極めて少ない。だが昨年20年ぶりにDEAD ENDを再結成し、このソロ・プロジェクトをも再始動させたMORRIEというボーカリストは、間違いなくそんな稀有な表現者の一人である。1stアルバムからメンバーを一新して制作されたこの2ndでは、各パートが激しく自己主張をぶつけ合うことで、よりヘヴィでプログレッシヴな自由度を獲得している。頭から《悪魔は天使》(“真空”)と歌われているように、「天国と地獄」「永遠と一瞬」など、あらゆる両極を次々と並列に飲み込んでゆくのがMORRIEの歌の真髄であり、その声の持つ包容力が楽器陣の手加減なき衝突を最大限ポップに形づくる様は、真に幻術的ですらある。DEAD ENDの音楽が天国と地獄を容易に反転させる魔力を持つ音楽だとすれば、こちらは天国から地獄へのグラデーションを地続きに描き尽くすことで、聴き手を夢幻の世界へと連れ去ってゆく妖力を持つ。(井上智公)