2年ぶり新作。完成寸前だったというアルバムに満足いかず、20曲を全部破棄して、一から作り直したという。だからアルバム・タイトルは「無」というわけだ。
破棄されたトラックは音楽的な方向性や単なるクオリティの問題というより、自分自身でわき上がるような高揚感が感じられなかったということなのだろう。「感じたことや見たことを、ありのまま何でも言えたあの頃に戻りたかった」とはファレル・ウィリアムスの言葉だが、当初の目新しさが薄れ、バンドとしてそろそろ迷いや行き詰まり感が出てもおかしくない4作目という微妙な時期に、ここまで新鮮で刺激的で、沸き立つような楽しさに溢れるような作品が作れるのは素晴らしい。ロック色が強い曲も多いが、あくまでも全体の基調はファンキー&グルーヴィ、そしてダンサブル。ボーイズ・ノイズのエレクトロ・リミックスや、スタースミスのアンセム・ミックスまで含め、かつてなくダンス・フロアを意識した作りになっているのも好感が持てる。ダフト・パンクのプロデュース曲も毛色の違ったトライバルな仕上がりで、彼らの次作への期待を高める。(小野島大)