漢は山へ

アクロン/ファミリー『S/T II : コズミック・バース・アンド・ジャーニー・オブ・シンジュ・TNT』
アクロン/ファミリー S/T II : コズミック・バース・アンド・ジャーニー・オブ・シンジュ・TNT
A/Fの面白さは、所謂アメリカーナ的な泥臭く力強い「歌」がありながら、それにも勝る放埓で横断的な「音」の実験がそこに共存している、ところだと思う。それこそがつまりフリー・フォークたる自由、異形性であり、デヴェンドラも見出したスワンズのマイケル・ジラが彼らを世界一のバンドだと称えたのも大いに頷ける。そのジラの元を離れてリリースされた3rd『セッテム・ワイルド~』を引っ提げ、裸神輿のように熱く猛ったライブを見せた2年前の来日公演も記憶に新しい。4作目の新作は、北海道の雌阿寒岳の麓の山小屋で曲作りが行われ、「日本」が大きなインスピレーションになっているという。その経緯やジャケからは山岳信仰めいた匂いも漂うが、本作で聴けるサウンドは、よりライブで魅せる彼らの姿に近い内容と言えるかもしれない。演奏は電子音やエクスペリメンタルな演出を施したサイケデリック・ロックから、歌声が染み入るおだやかなスピリチュアル・フォークまで。いわば“活火”と“休火”の織り交ぜが絶妙、というか。この、けっしてルーツや正統に収斂しないある種の雑味こそ、彼らの醍醐味だろう。(天井潤之介)
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