現在はブルックリン、以前はボルチモアが根城、さらに遡ればオリジナル・メンバーのふたりがオーストラリアからアメリカにわたってきたところからスタートしたローファイ・パンク・バンド、ザ・デス・セット。フジでその強烈なパフォーマンスを観た人もいるだろう。彼らのセカンド・アルバムが本作である。
2009年9月にオリジナル・メンバーの片割れ、ボウがオーヴァードーズにより亡くなるという悲劇が起きた。ボウの言葉をサンプリングしたトラックに続いて奏でられる瑞々しいアッパー・チューン“アイ・ミス・ユー・ボウ・ヴェラスコ”があることからも分かるとおり、これは追悼アルバムである。盟友トリプルエクスチェンジがプロデュースを務め、ディプロやスパンク・ロックが参加している曲もある。つまり友人たちのサポートを受けてこれを作り上げたということだろう。音が整理されたことで、じつは彼らがポップなメロディを書くバンドだということが露わになっている。タイトルはゴダール『勝手にしやがれ』でジャン=ポール・ベルモンドが演じた役名。最後に撃たれてしまう彼を、ボウに重ねたのだろうか。(小川智宏)