ライブハウスシーンでは、昨年頃から既に高い注目を集めている4人組=女王蜂。2枚の自主盤を経て、『魔女狩り』が初の全国流通盤だ。男と女を併せ持つアンドロギュノス的なアヴちゃんの歌声と、怖いものなしに暴発する演奏が死ぬほどかっこいい。荒々しい曲もあれば、幽玄な曲もある。虚しさに火をつけてディスコティックに踊り、空疎な焦燥感を色欲で蹴散らしていく。だけど、どの曲もたまらなく悲しい。そのどぎつい煌きに目がくらむけど、その奥にある本質は、誰かの人肌を求めて仕方がない、赤子の泣き声みたいなロックンロールだ。本能的で無垢で、祈りのような美しさがある。
喪失感はあれど、一体何を失ったのかも分からない麻痺したこの時代。そこに女王蜂は、痛みと興奮を鮮烈に叩きつけるはず。痛快な新人の登場だ。(福島夏子)