SPRINGMANは、SUPER BEAVERやsumika、マカロニえんぴつらが所属するmurffin discsのオーディションでグランプリを受賞したアーティストで、そのアーティスト名からも察されるように奥田民生をリスペクトし、マカロニえんぴつと同じくmurffin discs内のレーベル「TALTO」に在籍している。
一聴すれば奥田民生からの影響を感じ取れるし、その音楽的な部分は他のメディアでもさまざま取り上げられていると思うが、今回のインタビューでは彼の人となりにも深く迫っている。
自分が憧れている音楽を体現するということ以上に、真面目過ぎて周囲とうまく馴染めなかったかつての自分のように悩んだり悔しい思いをしている人に、音楽を通して救いの手を差し伸べたいという強い思いを持っていることを、普段は暑苦しいから隠していると言いつつも明かしてくれた。
同じことを主張してもその人の学歴によって受け取られ方が違うことに疑問を感じるがゆえに、自分の言葉に説得力をもたせるために大学に進学することを決めたり、ライブハウスでの活動を大事にしつつも、部屋から出れないほどの大きな悩みを抱える人に音楽を届けるために有名になりたいという目標を持っていたり、とても思慮深く、熱い心を持っているアーティストなのだ。
《僕はいつも 嫌なことばっか/素直になると 立場がなくて/もっとしたいんだ!できるんだ!って悩む》(“エスケープコール”)──きっと実体験から出てくる言葉なんだろうなと感じる心の葛藤が表れた歌詞。そしてサビでは、《誰がいくら頑張っていても/僕は今日逃げたくなる》と弱音をこぼす。そんな情けない姿が、インタビューを聞いたあとだとよりグッとくるし、自然と私たちの肩の荷をおろしてくれる。
歌そのものとアーティストの生き方が地続きであるような彼の音楽にmurrffin discsらしさを感じて、またいいアーティストが登場したなと今後の活躍がとても楽しみになった。ぜひインタビューで彼の音楽に対する熱い思いを受け取ってほしい。(有本早季)
『ROCKIN'ON JAPAN』6月号のご購入はこちら