レッド・ホット・チリ・ペッパーズの来日がいよいよ今週末の5月18日、そして20日に迫り気持ちが盛り上がってるファンの皆さんも多いのでは。
なんと、それに合わせてレッチリの今回のツアーをドキュメントした写真展『UNLIMITED LOVE DREAM PHOTOS BY DAVID MUSHEGAIN』が、5月18日から千駄ヶ谷のUNDER Rで開催される。
まず写真展の詳細はこちら。
期間:5月18日(土)〜5月26日(日)
時間:午後1時〜5時
場所:UNDER R 〒151–0051 渋谷区千駄ヶ谷2-6-3 1F
入場無料
UNDER R :@under_r_tokyo
ここで展示されるのは、2022年に開始した世界スタジアムツアーのライブ写真と、舞台裏などの写真数点を含む計約50点だ。去年来日公演をした際の、大阪でのジョン・フルシアンテの写真や、東京でのアンソニー・キーディスの写真も展示される。
カメラマンのデヴィッド・ムシュゲインは、LA出身で、アンソニーとは長年の親友。
彼は、ファッション写真を中心に撮ってきたけど、2011年8月のサマソニから今日に至るまでレッチリのツアー写真を撮り続けている。もともとレッチリは各メンバーのキャラが強烈なばかりか、フォトジェニックだし、超フィジカルなバンドでもある。この写真展では、そんな彼らのステージ上での格闘技とも言える数々の瞬間を、長年撮ってきたデヴィッドだから捉えられた作品として展示。また、この写真展のために特別に作られたTシャツなども販売される。
会場で買えるものは:
1)展示されているライブ写真
2)Tシャツ2種
a. 写真展の開催が記載されたTシャツ。
b.カメラマンのデヴィッドが手がけるファッションブランドFREAKTOPIAで、この日にために1枚1枚手染め、手刷りしたタイダイTシャツ150枚。レッチリのロゴなどがプリントされている。
3)ポスター4種。ライブのオリジナル写真を買えない人のために。
4)ZINE。写真展の写真が納められたカタログのようなZINE。これは数に限りがあるので欲しい人はお早めに。
それでなんとありがたいことに、今回ロッキング・オンの読者プレンゼント用にTシャツを1枚もらいました。応募詳細は、6月7日発売の7月号をご覧ください。
デヴィッドはこの写真展を行うにあたり、以下のメッセージを発表している。
実は、個人的にも今回のレッチリのツアーのライブ写真があまりに素晴らしいので、バンドのIGなどでずっと追い続けていた。「この写真展のタイトルは、アンソニーが思い付いたもので、バンドの最近の2作『アンリミテッド・ラヴ』と、『リターン・オブ・ザ・ドリーム・キャンティーン』を合わせて、『アンリミテッド・ラヴ・ドリーム』になりました。写真展では、2022年から撮り続けている今回ツアーのライブ写真の他、2016年にパリで撮影されたシャネルのウェディングドレス姿のアンソニーの写真などが展示されます。会場に来てくれた皆さんには、アンソニー、チャド、ジョン、そしてフリーの素晴らしいエネルギーを肌で感じて、まるでステージ上にいるような感覚を味わってもらえたらと思っています」
だから、写真展が行われると聞いて完璧だと思った。すでに、展示される写真も見せてもらったのだけど、この写真が家の壁に飾ってあって毎朝起きて見たら、すごいエネルギーをもらえるとなあと思えるものばかり。なかなか買うのも難しいかもしれないけど、ポスターも販売されるそうだし、何よりぜひ自分の目で見てみてください。
この写真展開催を機に、多忙なカメラマン、デヴィッドに話を聞くことができた。もちろん写真展のことも聞いたけど、長年バンドを至近距離で見ている人なので、時間の許す限りその他についても聞いてみた。非常に長いインタビューなので、時間のある人は読んでみてください。一番感動したのは、バンドが全てのショーにおいて、その時の自分達を全て捧げていると語っていたことだ。絶対にそうだと思っていたけど、それが確認できて嬉しかった。
●アンソニーと親友ということですが、どのように知り合ったのですか?
「共通の知り合いを通して。ガイ・オセアリーというマドンナのマネージャーで、彼らのマネージャーでもある人が、僕の長年の友人なんだ。彼が、アンソニーの親友でもあり、家に行くたびに、『アンソニーと絶対気が合うと思う。一緒にサーフィンしたりして、友達になれると思う』と言われて。それである時、ガイの家で偶然会ったんだ。話したら本当にすぐに意気投合して、『サーフィン行こうよ』となって。一緒にサーフィン行って、その日から親友になったんだ。16、17年前くらいかな」
●今回の写真展のコンセプトは?
「タイトルの『Unlimited Love Dream』は、アンソニーが思いついたのもので、彼らの最近のアルバム2枚『アンリミテッド・ラヴ』と『リターン・オブ・ザ・ドリーム・キャンティーン』を合わせたんだ。写真展では、2022年から開始した最新ツアーで撮った写真が展示される。彼らのライブは、2011年以来撮り続けているけど、今回のツアーはとりわけ興奮したし、特別だったからね。アルバムが2枚も出たし、何よりジョン(・フルシアンテ)がカムバックしたツアーなわけだけし。バンド内の空気感も変わって、撮る方としてもすごく興奮したんだ。それでこのツアーがあと何ヶ月かで終わるから、ガイが、終わる前にどこかで写真展をやった方がいい、と提案して。東京がいいと思ったんだよね。すごくクールな都市だし、日本で何年も仕事していたしね。それで東京で開催することになったんだ。基本的には、今回のツアーで撮った写真のみでまとめることにして、そこに数枚、舞台裏の写真も入れたんだ」
●去年来日時の写真も入っていますか?
●今回のツアー写真がとりわけ良いのは、ジョンが復活してバンドの雰囲気が変わったからというのも関係していると思いますか?「ジョンが映ってる大阪の写真が1枚と、アンソニーが映っている東京の写真が1枚あるよ」
●レッチリのツアーはこれまでに何度くらい撮影しているのですか?「バンドの代弁をするつもりはないけど、ジョシュ(・クリングホッファー)は、ミュージシャンとしても最高の腕前だし、バンドがああいう状態の時に来てくれた人だった。それ以前に、ヒレル(・スロヴァク)というオリジナルのギタリストもいたわけだけど、でも、ジョンのカムバックは、やはりバンドにとっては別次元だったんだ。まず、彼らの名曲は、ジョンも一緒に書いたわけだからね。それに、ギタリストで、ジョンみたいな存在って数えるほどしかいないと思うんだ。僕の中では、ジミ・ヘンドリックスと、ジェリー・ガルシアと、ジョン・フルシアンテの3人が最高峰でさ。もちろん他にも優れたギタリストはたくさんいるけど、ジョンは、ギターで魔法を放つんだ。そういうエネルギーを持った人がステージに一緒にいたら、それは当然クレイジーだよね。これぞ本物って感じでさ。これが本当のレッド・ホット・チリ・ペッパーズなんだって感じるんだ」
「600回くらいかな。この10年以上はずっと撮っているからね。たぶん最初に撮ったのは、LAのTroubadour(2011年7月31日ウォームアップギグ)で、面白いのは、彼らを大きなステージで初めて撮影したのは、日本のライブだったんだ(2011年8月サマーソニック)。その時僕は、仕事で偶然日本にいたから、撮ってくれと頼まれてね。アンソニーと友人になって数年は経っていたけど、僕は主にファッションの撮影をしていたから、彼の仕事に関わるつもりは全くなくてさ。でもその時お願いされて、彼らのライブを撮り始めた。そのツアーでは、ファンを撮影した写真集を発表したんだよね(『Fandemonium』)。でも、ライブ写真を撮ったのはその時が初めてだったから、当時のライブ写真は、かなり酷かったよ(笑)」
●今回の写真展で見に来る人に何が伝わったら嬉しいですか?
●ライブ写真の他に今回展示される、アンソニーのウェディングドレス姿の写真と、フリーがパンツだけ履いている写真の背景は? 悪ふざけの様子が彼ららしくて良いですが。「この写真を見た人が、自分もステージいるかのような体験ができたら嬉しい。それからバンドが毎回のショーで発している強烈なエネルギーを感じてもらえたら嬉しい。彼らは疲れていても、絶好調でも、毎回本当に彼らが持っているもの全てを捧げているからね。それを身近で見ていて本当に感動するし、素晴らしいと思うし、尊敬しているんだ」
「あの当時(2016年)、僕は『OUR CITY OF ANGELES』という小さい雑誌を作って、その最初の表紙がリリー=ローズ・デップだった。それを出した後に、みんなにもっと作った方がいいと言われて、その次の表紙をアンソニーにしたんだ。それでその時シャネルの広告を撮ったばかりだったから、シャネルに電話してアンソニーと撮影したいと言ったら、『ぜひ来てください。アーカイブの中から使いたい服はどれを使っても良いです』と言われて」
●すごいですね。
●展示される写真で、とりわけ気に入ってる写真はありますか?「それでRue Cambon にあるシャネルのメインオフィスで、シャネルのアパートだった場所に行って、アーカイブを見せてもらったんだ。すごくたくさんの服の中から、アンソニーが、『これがいい!』って選んだのがこのウェデンィングドレスだったんだ(笑)。彼がジェエリーも全部選んで、それを付けて、写真を撮ったんだよね。しかもあの階段って、すごいアイコニックなシャネルの階段で、ショーでも使われていた場所だ。だからすごく大好きな写真なんだ。シャネルとチリ・ペッパーズという2つの世界を合わせたような写真になったからね。
フリーの写真は、ドイツのフランクフルトで撮ったもので。フリーがレスリングの試合をやりたいと言って、ライブの前日か、または当日の早い時間に、本格的にリングを作って、スタッフ全員でレスリングの試合をしたんだ。僕もジョシュのギターテクと闘ったし、ツアーマネージャーはフリーと闘ったしね。みんな本当にレスリングの格好をして、スクリーンにも映し出して、クレイジーだったよ。フリーはみんなをかたっぱしから叩きつけたから、マジで勝ったんだ。それで大盛り上がりしていて、その時に撮った写真なんだ。チャドがレフリーで、すごい面白かったよ」
●今回の写真展の会場はどう思いますか?「そうだな。えっと、ジョンの写真と、いや待って、アンソニーとフリーの写真が一番好きだな(アンソニーがオレンジのジャケットを着て、観客席が写っている写真)。フランスで撮った写真なんだけど。この写真が好きなのは、2人が叫び合ってるからなんだよね。すごくクールだと思った。その他にもありすぎて、全部の写真が大好きだからね。それにこのツアーだけで、2年半かな、50万枚位は撮ってから」
●ええ!!「すごくクールだと思うよ。ロン・ハーマンのUNDER Rがクールだからそこでやりたいと連絡したみたら、その時点ですでに会場が埋まっているから無理だったんだ。でもカフェでできるかもと言ってくれて。アンソニーに見せたら、『うん、クールだと思うから、やったら良いと思う』と言ってくれて。それでちょうどロン・ハーマンの人がLAに来ることになっていたから、じゃあ家に寄ったらどうですか?と言って。実は、そのタイミングが凄かったんだけど、その日偶然アンソニーと遅いランチすることになっていてアンソニーが早めに来たから家にいたんだ。それで、僕が2階で何かをやっている時に、誰かが来たから、アンソニーに『ちょっと出て』とお願いして、アンソニーが扉を開けたら、それがロン・ハーマンの人達だったんだ。つまり、彼らからしたら、レッド・ホット・チリ・ペパーズの写真展のミーティングをしに来たら、いきなりそのシンガーが扉を開けてくれたわけで、びっくりしたと思うんだよね(笑)。それで僕は、写真を机の上に並べてあったんだけど、その説明もアンソニーが全部やってくれたんだ」
●今回のツアーで、一番感動した瞬間っていつですか?「この写真はこうで、この写真はこうで、ってね。彼以上に写真をうまく説明できる人なんていないよね。しかも僕がFREAKTOPIAという自分のブランドで作っているタイダイTシャツの説明までしてくれて、おかげで、この写真展用にタイダイのTシャツも作れることになったんだ。フロントがレッチリ のロゴで、バックは(不思議の国の)アリスで、すごく複雑なんだけど、有名なグレイトフル・デッドのTシャツとかジャケットを手掛けた人と一緒に、写真展のために150枚作ったんだ。僕と友達の全部手作りでね。それから写真展のカタログZINEも作った。ポスターも作った。写真を買えない人が、買えれば良いなあと思ってね。4枚選んだんだ。ZINEは写真展のカタログみたいな感じで、自分が展覧会に行くと、写真を収録したカタログが買えたらって思うからね」
「それは、すごくたくさんあるな。例えば、イントロでジョンがジャムすると、それだけでぶっ飛ぶからね。でも最も好きだった瞬間って、ステージ上で何かが上手くいってないような時だったりする。例えば、ワシントンD.C.で何かがうまくいってなくて、その時撮ったのは、みんながステージでハグしている写真なんだけど(今回の写真展でも展示)。チャドの前でね。あの瞬間がすごく好きでさ。全員でいかに支え合っているのかが、あの瞬間によく分かったから。誰かが調子が悪い日があったりすると、その他のメンバーが助けているのが分かるんだ。そうやってお互いを高め合ったりもする。それを目撃できた時いつも感動する。それから、数ヶ月前に、カマシ・ワシントンとサックスで共演したことがあって、(2月LA)あの時のジャムはまじで狂ってたね。それ以外にも、このツアーでは最高の瞬間がありすぎて、選べないな。毎晩ステージ上で最高と思う瞬間があるからね。全てのショーで何かスペシャルなことが起きるんだ。彼らと一緒にいるのは本当に毎回ぶっ飛びなんだよね」
●バンドとの一番好きな思い出は?
●ひとつのライブで良いショットが数枚ということはあっても、ひとつのツアーを撮り続けて、ここまで素晴らしい写真が何枚もあるというのは、非常に稀だと思うのですが。「それは難しすぎるな。最後に答えるよ」
●ちなみに今回のツアーは前座のメンツも豪華なのが最高です。今回の写真展では展示されないですが、IGに投稿されていたイギー・ポップとの写真とザ・ストロークスとの写真を撮った背景を教えてもらえますか?「ありがとう。彼らのライブを撮り続けているけど、2022年に開始した今回のツアーは、多分、2、3回行けなかった以外は全部撮っていて。実際コンサート写真ってすごく難しい。何度ショーを観ていても、ショーごとに彼らの動きは変わるし、照明も、全てが一瞬で変わってしまう。大事な瞬間に、いかにそれを撮れる場所にいるのかが肝心になってくる。何箇所か自分で気に入っている場所があって、ひとつは、チャド(・スミス)のバスドラムとフリーのベースアンプの間。もう一つはジョンのアンプの真横。だけど、そこにずっとそこにいると嫌がられるから(笑)、動き回ったりもする。でも、至近距離でパーソナルに感じられるような写真をワイドレンズで撮るのが好きなんだ。まるで彼らと一緒にステージにいるような感じがするからね。
もしかしたらアーティストがここまでアクセスをさせてくれないからという可能性もあるよ。ステージ上ってすごく親密な場で、カメラマンはそれを邪魔しているわけだからね。実際、アンソニーにも『オイ、デイヴ、今は邪魔だ』って合図をされたりもする。かと思えば、すごく居心地が良いような時もあって、例えば、”カリフォルニケイション”のジャムの時とかね。アンソニーと、チャドが、ベースのスピーカーの後で、ありきたりの会話をしていたりするんだ(笑)。おったまげるよ。
アンソニーが初めてそれをやったのは、たしか2012年、ウクライナの巨大なスタジアムでショーをやった時。僕はフリーとアンソニーの間にあるステージ右のスピーカーの上に座って観客を見ていたんだ。それでバンドがジャムを始めたから、アンソニーが少し休憩して、僕の隣に座ったんだ。一緒に観客を見ていたんだけど、彼がいきなり街のこととか、その前日に一緒に街を散歩したこととか話し始めたんだ。その瞬間にワオ、これって最高だなって思った。5万人が自分を見ている最中に、これまで45分間、全身全霊で歌っていたのに、こんなに落ち着いていて、まるで公園のベンチに座ってるかのように普通の会話ができるなんてね。その瞬間に彼らがどれだけ経験を積んできたのかが分かった。実際、彼らは子供の頃からこうやってステージで魂を注いできたわけでね。本当のプロだよね。それって本当にすごいことだよね。冷静になって考えてみると。
僕が彼らの本当に本当に大好きなところは、全てのショーを毎回毎回本当に真剣に受け止めて、それぞれのショーの観客のために最高のものにしたいと本当に思っているところなんだ。本当に真剣にね。だから高校生バンドの情熱を持った巨大なバンドって感じなんだ。毎回どの曲をやるのかみんなで話し合って、書き出しているし。観客が、人生最高の時を過ごせるように全てを出し尽くしている。それを毎晩やり続けている。本当にクレイジーだよ。本当にすごい情熱なんだ。その他のバンドのツアーも写真を撮ったことあるけど、決められた同じショーを毎晩やってるって感じでさ。それはそれで良いとは思うけど。でもチリ・ペッパーズのライブは毎回違うし、その日どんなショーになるのか絶対事前に予想もできない」
「イギーとは、確か6公演くらい一緒にやったのかな。当然イギー・ポップなわけで、前座を毎回撮影したりしないけど、イギー・ポップは全ショー撮影したんだよね。それで彼のマネージャーに、バンドと一緒に写真を撮ってもいいか聞いたんだ。もちろんバンドは、一緒に写真を撮りたいなんて言わないからね。みんな挨拶をしたいとは思っているけど、写真撮りたいなんて思ってないからさ。それで最後のショーの時に、どうしたら一緒に写真が撮れるかマネージャーと相談したんだ。というのも、会場に入ったら、それぞれが準備を始めるから実はそれほど時間はないんだ。それで、マネージャーが、イギーがステージに出る前に、バンドのところに連れて来てくれることになって。その日は、いつもより15分くらい時間の余裕があったからね。イギーにバンドの控室の方まで来てもらったんだ。今回のツアーで全員が集まったのって、それが初めてだったんだ。すごく良い雰囲気で、もちろん全員知り合いだしね。とりわけジョンが超喜んでいて、イギーに聞きたい質問があったから。それを聞けたし。イギーも、全員に会えてすごく喜んでいた。それで、5枚くらい撮らせてもらって、そのうち3枚をIGに投稿した。ザ・ストロークスも同じで、ツアーしている間中、お互い会う時間がなかったんだ。一度だけフリーがザ・ストロークスの控室に行って、ジャムしたからそれは録ったけど。でもそれ以外は、みんなが会う時間もなくてね。でも15公演くらい一緒にやったわけだから、一緒に写真を撮るべきだと思って撮らせてもらったんだ。
色んな前座の中でもイギーと、ザ・ストロークスと、それからアンダーソン・パークが最高だったな。それからジャック・アイアンズ(レッチリ結成時のドラマー)の息子のバンド、Irontomsが南米で前座したんだけど、彼らも最高にカッコ良くて、ものすごく盛り上がったよ」
●ライブの舞台裏はどんな感じなのですか? 瞑想しているのか、パーティしているのか?
●フリーの赤ちゃんが生まれたばかりで、ツアーで離れるの大変だろうなあと思っていました。「ショーの前は、それぞれがやるべきことをしている。ツアーに同行しているシェフがいるからその人が作ってくれた食事をして、それから瞑想の部屋もあって、フリーは毎回瞑想している。トレーニングができる部屋もあるし、それから整体の人がいて、アンソニーはストレッチをしてもらっている。各自、仕事のための準備をしている、って感じだよ。それでショーが終わったら、その日によって違うけど、場合によっては、飛行機に飛び乗ることもあるし、そうでない場合は、すごくまったりしてる。家族がいる時がみんな一番幸せだけど、でもそれ以外は、みんな落ち着いた感じで。話したりするけど、その日のショーについてはそこでは話さないんだ。日常について語り合ってる。ただ、チャドだけは、ショーが終わったらすぐいなくなって。でもフリーと、アンソニーと、ジョンは毎晩ショーが終わったら一緒にご飯食べてるよ。色んなことを喋ってる。その街で起きてることとかね」
●あなたが撮ったU2の”Love Is Bigger Than Anything In Its Way”のMVも感動的ですね。「それは僕も思うんだよね。彼は本当に良いお父さんだからね。でも幸い本当に良いお母さんがいるおかげなんだと思うよ」
●あなたはもともとファッションのカメラマンで、ブランドも持っていたり、最近ではファッションアイコンの1人Gene Krellのドキュメンタリー映画も制作していますが、将来やっていきたいことは何ですか?「あれはU2が、『SONGS OF EXPERIENCE』を作り終えた時に、好きな曲を選んでMVを作ってと言われてね。あの曲が一番好きだったんだ。好きに作ってくれて良いと言ってくれて。僕は昔ダブリンでティーネイジャーの写真を撮ったこともあったし、友達もたくさんいたし。LGBTQコミュニティにもね。それで、この曲は愛についてだし。アイルランドはみんな古い考え方だと思っていると思うし、みんなパブで緑ビールを飲んでるイメージだと思うけど、でも、実際ダブリンはすごくダイバースでカッコいいし。だから僕が好きなダブリンを見せたいと思ったんだ。友達に、トランスのパートナーがいて、お婆さんと一緒に住んでた人がいてね。そういう人たちをドキュメントしたかったんだ。それに、U2が育った街でもあるわけだから、すごくスペシャルだと思ったし、彼らの出身地から物語を語るというのは素敵だと思ったんだ」
「正直に言って、何もかもやりたいタイプなんだよね。でも、最終的には、僕がドキュメントした人達の物語を分かち合っていきたいと思ってる。例えば、エジプトでチリ・ペッパーズがライブをした時に、映画を作って、アンソニーにインタビューしたんだけど、その映画の冒頭でアンソニーが語っていたことがあまりに美しかったんだよね。その映画の上映はパンデミックのせいでキャンセルになって、その後ジョシュが去ってジョンが入ってバンドが変わってしまったから、映画が公開されなくなって残念ではあるんだけどね」
●差し障りのない範囲内で、アンソニーが語っていたことを教えてもらえますか?「今後やっていきたいのはそういうことなんだ。人々が人生の経験を通して何を学んだことを分かち合うこと。アンソニーじゃなくて、街のパン屋さんの話でも良い。人生で何かを学んだこと。それは次世代に渡せるから。写真を撮るというのは、なんでもできる最高の言い訳なんだ。そのおかげで、色んな人から、人生の物語を聞き、それと同時に彼らのイメージも撮れる。写真であれ、映像であれね。それができて本当に恵まれていると思う」
●ありがとうございました。「もちろん。彼は人生経験について語っていて、彼が言いたいのは、家にじっとしているだけじゃ学べないことがあるってこと。もちろん家にいても学べることはあるけど。彼にとってのツアーの意味を語っていて、写真展で発売するZINEの中でも引用してるけど、彼が言ったのは、『俺たちはラッキーだ。まだ俺たちのショーに来てくれる人たちがいる。来たいと思ってくれている人たちがいる。俺は、いまだにツアーに出るのが大好きなんだ。もちろん、自分の家から離れてのホテル生活はすごく大変だ。でも同時にそれは魔法のようでもある。ライブを観に来てくれる人達は、みんなそこにいたいと思って集まり、楽しみ、躍りまくってくれる。それって本当に美しい体験なんだ。だから大好きなんだ。魔法って絶対にどこかにある。それを探しに行きたいかどうかだけなんだ』ってね。こういうことを彼は永遠に語ってくれている。めちゃカッコいいよね。それからフリーのインタビューの引用もしていて。『とにかく演奏するのが大好きなんだ。大大大好きなんだ。演奏していると何もかも忘れて夢中になれる。子供の頃からそうだった。子供の頃夜に、両親が電気を消して部屋の扉を閉め、部屋が真っ暗になったら、俺の想像が広がった。俺の想像上の友達があらわれて、その人達に話しかけていた。一緒に彷徨って、神秘的な場所を訪れて、探求した。それが子供の頃に俺にとって毎日一番幸せな時間だった。つまり、俺にとっての音楽って、それと同じなんだ』。最高だよね。そういうことをみんなと分かち合っていきたいんだ」
【 後から送られてきた答え 】「バンドとの最高の瞬間をまだ考えているんだけど。あまりにたくさんありすぎて、後で書いて送るよ。そう言えば、実は、僕が本当にアンソニーに初めて会ったのは、ずっと前なんだ。すごく好きになった女の子がいて、彼女が友達とLAに来たことがあった。当時、僕はまだ友達の家に住んでいて、写真を撮り始めたばかりの時期で。彼女には自分が好きなことはまだ告白していなかった。それで彼女達が到着してから、『今晩ご飯に行こうよ』って言ったら、その子が、『友達が迎えに来てくれて夕食に行くことになってるの』って言われたんだ。だから、僕はスケートボードで友達のバーに行って、午前2時ごろに戻ったんだ。そしたら僕らの家の前に車が停まっていて、誰だよ?って。その家って、実はマリリン・マンソンが昔住んでたから、ファンが時々来ることがあって、またかなとも思ったんだ。そしたら、車の窓が開いて、『デヴィッド!』って呼ばれて、それがアンソニー・キーディスだったんだ。なんでこんなところにいるんだと思ったら、その車から女の子達が、『ハイ、デイヴ!』って。ああ、友達ってアンソニーのことだったのかって。つまり、僕が好きだった女の子はアンソニーに取られたってわけ(笑)。ずっと彼には言ってなかったんだけど、去年初めて言ったんだよね。多分25年前の話だけどね。めちゃ笑えるよね。それで、さっきの答えは、考えて後で送るよ」
「長年ツアーを一緒にしてきて一番好きな思い出は。嘘は付かないで、今真っ先に思い出したことを書くと、ハロウィン。いつ、どこだったのか思い出せないけど、でもずいぶん前。アンソニーの息子がまだ小さくて、トリック・オア・トリートをすごく楽しみにしていたから。アンソニーと息子はお揃いのクマのコスチュームを着て、フリーはお化けのコスチュームだった。彼はシーツをかぶって、目の穴を開けて、家を回って、みんな楽しんでいた。でもフリーはフリーらしく、トイレに行かなくちゃいけないと言いだして。彼がおしっこがしたいと言ったらマジでおしっこがしたい時なんだ。それでフリーが、おもむろに路地でお化けのコスチュームを着たまま立ちションしたんだよね。あれは最高だったな。
あとこれはインタビューの時にも言ったけど、ウクライナの巨大なスタジアムでショーをやった時、ライブ中にアンソニーと日常会話をしたこと。
それからもうひとつのクールな瞬間は、エジプトのピラミッドでやったショーだね。本当にすごい体験だったから。カイロのエネルギーもすごくワイルドだったし。あの当時あそこにいること自体危険で、そのエネルギーとも合わさってさ。それに、音楽シーン全体が、このショーがどうなるか注目していた。政治的な状況などのせいでなかなか行けない地域だったし。実は、アンソニーと朝食を食べている時に友達から携帯にメッセージが来たんだ。ピラミッドの前で演奏できるバンドがいないかと。それでそのメッセージをアンソニーに見せたら、彼が『ピラミッドに行こう!』って言って実現したんだ。行って本当に最高だったんだ。ピラミッドの前で、僕達しかいなくてさ。それでショーが終わった翌日、フライトが夜中の12時までなかったから、ホテルでみんなで一緒にいたんだ。Henk Schifmacher(タトゥー・アーティスト) がタトゥーのマシーンを持ってきていたから、みんなでタトゥーをしてね(写真が僕のタトゥー)みんなで大笑いしながら、色んな物語を語って。バンド全員が一緒に過ごせて本当にクールだったよ。
ツアーに出るって、それだけで誰にとっても本当にすごくぶっ飛びの体験だ。でも、それによって団結するバンドもいれば、徹底的にバラバラになるバンドもいると思う。でも、僕にとってのレッド・ホット・チリ・ペッパーズとの体験は、いつだって団結でしかないんだ」
ロッキング・オン最新号(2024年6月号)のご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。
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