パリオリンピックの閉会式で、2028年に会場となるロサンゼルスオリンピックへの引き継ぎが行われたが、あまりに豪華な内容だった。見た人も多いのではと思うけど、見てない人のために、映像が公開されたのでご紹介。
1)まずは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ。パリの閉会式会場でトム・クルーズがスタントを開始し、バイクでパリの街を走り始めると”By The Way”のギターリフが聴こえたから興奮。
ハリウッドサインから、スケートボーダーのジャガー・イートンなどに旗が渡されてベニス・ビーチへみんなが集まっていくという展開だった。
ベニス・ビーチに着くとレッチリがステージに揃っていて、そのまま”Can’t Stop”のライブ。その映像はこちら。
2)続いて登場したのは、ビリー・アイリッシュで、最新作から”Birds of a Feather”を披露。
3)最後はスヌープ・ドッグで、”Drop It Like It’s Hot”の後、ドクター・ドレーと共演で、”The Next Episode”を披露で超豪華。
4)またレッチリが出演する前に、H.E.R.がパリでアメリカ国家を披露。
5)さらに閉会式の中では、フェニックスが登場。何人かのアーティストと共演した。
Angèle
Kavinsky
AIR
さらにヴァンパイア・ウィークエンドのエズラ・クーニグとも”Tonight”を共演。
この曲は、フェニックスの曲でエズラがコラボしたもの。今年の4月8日日蝕の日に、テキサス州オースティンで最新作『Only God Was Above Us』の初ライブを行った際も、トーマス・マーズがサプライズで登場。私も観たけど、この時エズラは、「フェニックスは一番好きなバンドで、今日初めてこの曲をライブで共演できて嬉しい」、と言っていた。まさかそのお返し?!がオリンピックの閉会式につながるとは!
最後は、”1901”でトーマス・マーズはいつものように観客の中に入っていたけど、今回の場合は全員オリンピアンというスペシャルさ、だった。
この20分のパフォーマンスについてトーマスは、「美しきカオスだった」と裏話をしている。
なんと閉会式に出演が決まったのは、開催のわずか2週間前。当初は、開会式に出て欲しいかもと言われたそう。しかし結局は出ないことになり、7月終わりに、「選手が盛り上がるショーにして欲しい」とだけ言われて依頼されたと。そこから共演してくれるアーティストを色々と捜し、ツアーに出ていて出れない人も多かったらしいけど、なんとかエズラ始め、カヴィンスキーの”Nightcall”でコラボが実現。この曲は、ダフト・パンクのギ=マニュエル・ド・オメン=クリストがプロデュースした曲。
2010年の発売当初、ギが、トーマスにコラボして欲しいとお願いしたらしいのだけど、彼らはフェニックス以外のアーティストとコラボしないと決めていたので断ったと。「もともとどのパートを歌って欲しかったの?」と聞いて、今回それ以来夢のコラボが実現した。
また、”1901”で観客のところに降りた際も、ちょうど前にいたのがアメリカの選手団。この曲はアメリカでもヒットしたので、選手が大盛り上がりしてくれたそう。「金メダルを渡してくれた選手すらいたんだけど、それを自分が首からかけるのは違う、と一瞬で判断した」と。「この主役はあくまで選手だから」。セキュリティの関係で、選手の中に入るのはダメなのかと思ったけど、オーケーが出たそう。彼が最後に手を挙げたのは、この曲をプロデュースしたPhilippe Zdarが2019年に亡くなったので、彼への追悼だったということだ。
彼らがこの日演奏したのは以下の通り。
6)さらに、アメリカでは、閉会式に続いてLAオリンピックの特番が放送された。レッチリ、ビリー、スヌープが追加でライブを披露した。
レッチリは”Eddie"
ビリーは、”The Greatest”
7)また、ビリーもレッチリもLAオリンピックのエンブレムを発表していてそれがカッコいい。
LAオリンピックの公式サイトでは、レッチリをこう紹介。
また、アンソニーがこの中で、LAへの思いを語っている。「レッド・ホット・チリ・ペッパーズなしでLAは存在しません。
LAオリンピックは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとコラボで、LA 28の(レッチリがデザインした)”A”のエンブレムを発表できてすごく嬉しいです。これはこの街を完全な形にしてくれるダイナミックなカルチャーと人を賞賛してくれていると思うのです」
また番組の中で、フリーもオリンピックへの思いを語っていた。「LAっていうのは、いつも来た人達が、また来たいって思うような場所だと思う。単にここに来るだけかもしれない。家に持って帰るようなものはないかもしれない。ここが自分の新しい家になるかもしれないから。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズの核にあるのは、みんなで集まって一緒に音を鳴らす、ってこと。そこで、全員が人生で経験したことを吐き出す。LAっていうのは間違いなくその一部なんだ。
それで、(LA 28のレッチリのエンブレムの)”A”は、虹と雲が戦って、雲が勝って、それが”A”になった、みたいなデザインになっている。
俺たちのファーストアルバムは84年に出た。それは前回のLAオリンピックと同じ年で、LA音楽シーンにとってもすごくエキサイティングな時だった。パンクロックシーンの終わり頃で。それでオリンピックがまたLAに戻ってくるというのは、アメリカのバスケットボールチームが既に有利だということだとみなしている。
LAの好きなところは、海と山と椰子の木と、それから人がここに人生の挑戦をしにやって来るってこと。
LAにはそのスピリットがまだあると思うんだ。世界中の人がLAの全てに魅了される理由があると思うんだ」
ビリーも同様にLAについて語っている。髪がグリーンでアレっと思ったけど、そう言われてみれば、LAオリンピック立ち上げの時に、ビリーがエンブレムを作っていたのを思い出した。その後も順調に成功し続けたということ。「LAオリンピックの全てが楽しみだ。俺は子供の頃から、心からオリンピックが大好きだった。全選手をものすごく熱い思いで見ていて、あまりに夢中になって、泣いちゃったりするくらいなんだ。それから、いつもは見ないような競技でも、砲丸投げとか、新体操も見たりする。選手が技を磨くために懸命になることや、無限の可能性があること。それにぶっ飛ぶんだよね。だから、大好きなんだ」
「みんなLAはフレンドリーじゃないと思っていると思うけど、でも、LAの人はフレンドリーだと思う。みんな助けてくれるから。LAには全てがある。気づかないかもしれないけど。一人になりたい時に行く場所がいくつかある。車を運転するのも好きだし。それしかやらないくらい。LAを今まで以上に我が家と思うようになって、帰って来る度に、自分に戻れた気がするし、自分のルーツに戻れたと思う。LAはすごく色んな意味でインスピレーションを得る場所だと思う。LAは多種多様な場所だし、ひとつのタイプの人がいる場所じゃない。それで、オリンピックは世界中から人が集まって来る。だからそれをすごく楽しみにしている」
8)ビヨンセにテイラー・スウィフト「私の”A”は、自分のロゴに使ったもの。これから8年後(収録した時から)にまだ意味があるものなのかどうか分からないけど、自分の過去や未来を考えて何かをやらないようにしている。いつも今の自分が良いと思うことをやろうとしている。これから8年後に自分の人生がどうなっているか分からないけど、でも未来を楽しみにしている」
アメリカではオリンピックの放送はNBCが行ったのだけど、初日の放送の際にいきなりビヨンセのチームUSA紹介で始まったから超驚いた。
新作の”YA YA”に合わせて、カッコ良すぎるだろう。
さらにシモーン・バイルスが金メダルを取った後に、彼女をトリビュートする映像でビヨンセがナレーションを行った。
また同じく体操のジョーダン・チャイルズはビヨンセ の大ファンで、床運動で使っているのはビヨンセ の曲。
ビヨンセ の衣装にインスパイアされたユニフォームも作っていたくらいだ。
ビヨンセは、彼女がオリンピックに向かう前にメッセージを送っている。
またビヨンセに並びNBCで選手プロモのナレーションをしたのはテイラー・スウィフト。女性3人を紹介する内容も感動的。
「自分がどんな人間か見せるのを恐れないで。とりわけ、世界から注目されている時。世界一になるひとつの方法なんてないから」と、ケイティ・レデッキー、シャカリ・リチャードソン、シモーン・バイルスを紹介している。テイラー自身とも重なるので、鳥肌が立つのだ。
さらに金メダルを取ったシモーン・バイルスは、床でテイラー・スウィフトの”…Ready For It?”を使っている。そこから、ビヨンセがコラボしたトラヴィス・スコットの”Delresto”で終わる。
オリンピック前の大会の映像を見て、テイラーが、「何回も見たけど、心の準備ができない。だけど彼女はしっかり準備ができてる」とコメントしていた。
またテイラーは、「あなたを見ていると泣きそう」ともコメント。「とりわけ今週のあなたを見て、自分の感情を表現し管理する能力や耐久力を学んだ。どうもありがとう」と。
ビヨンセとテイラーという最高峰の2人をオリンピックのプロモに起用したというのもすごいことだと思う。
また、彼女たちだけに限らず、スポーツの祭典ではあるけど、音楽がもたらす感動や団結力も密接な関係にあることもよく分かった。
閉会式の後、フェニックスのカタログ全体や、カヴィンスキーの”Nightcall”、さらに、もともとチャーリーxcxとのコラボ曲でストリーム数が上がっていたビリーがさらにストリーム数を増やしたそう。
ビリー・アイリッシュの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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