昨今、アフロ・ポップを採り入れたバンドは、良くも悪くも常にヴァンパイア・ウィークエンドと比較される運命にあるが、この東ロンドン発スリー・ピース、フェアー・オーズはそこらの「VWフォロワー」とは一味もふた味も違う。その要因として明らかなのが、このバンドがもともとハードコア・バンドとしてスタートしているということ。だからすべてが潔い。逃避願望に基づいた完全なフィクションに乗せて鳴らされる「夏っぽさ」には一切の迷いがなく、鍛え抜かれた筋肉で余裕の脱力を演出している感じ。掛け声コーラスが楽しいゆるポップ・ナンバーがあるかと思えば、南フランスやインドの地名をタイトルに冠して無邪気に飛び跳ねる、ポスト・パンク・ベースのからりとしたポップ・ナンバーもある。ユートピア思想を掲げるトロピカル・ポップ・バンドがドリーミーを言い訳に雰囲気に流れがちななか、緩急のついたパンクを軸に、地に足を着けて鳴らしているところが彼らの強みだ。メンバー2人はレーベル運営にも携わるDIYぶりだが、そのことも、このどこか醒めたファンタジー・ポップの鍵を握っているといえるだろう。(羽鳥麻美)