スウィート・ポップの底力

タヒチ80『アクティヴィティ・センター』
2008年09月10日発売
タヒチ80 アクティヴィティ・センター - アクティヴィティ・センターアクティヴィティ・センター
ここまでステキなものだとは思っていなかったので、素直に嬉しいタヒチ80の3年ぶり4枚目のアルバム『アクティヴィティー・センター』。前作『フォスベリー』のエレクトロの要素をうまく絡ませた妖艶ともいえる音も嫌いじゃなかったけれども、やっぱりタヒチ80のサウンドが一番美しく聴こえるのは、このマカロンのようなしっとりとやわらかな甘さを湛えたポップ・ミュージックなのだ。「愛は君のまわりにある」と歌われる1stシングル曲“オール・アラウンド”の、ドキドキするようなドライヴィン・ポップ。“ワン・パラシュート”でのおどけるようなラブ・ソング。うねるようなギター・リフに導かれ、ハスキーなボーカルがセンシュアルに響く“ドリーム・オン”に、ホーンやパーカッションをふんだんに加えた“カム・アラウンド”(途中の語り部分とか悶絶しそうに可愛い!)など、どこを切ってもスウィートで清冽なポップ・ミュージックが流れてくるという、ポップ・マイスター=タヒチ80という称号にふさわしいアルバムである。こういうのを待ってました!

ライブ感を大事にしたいと、3ヶ月というハイペースで一気に作り上げられた今作。アックス・リヴァーボーイ名義でのグザヴィエのソロがエレクトロな要素を排除した、オーガニックなサウンド重視のものだったのもあり、肉厚な生音のグルーヴが全編に活気を与えていて、それゆえサウンドの安定感も増している。“ハートビート”で一世を風靡してから早8年。結成から15年を迎えるフレンチ・ポップスのモダン・ヒーローは、再び世界中のハートをスウィートな歓びで染めるのだ。(林敦子)
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