『コナー・オバースト』ブライト・アイズのコナー・オバーストがソロ・アルバムを発表――こう書くとどこか違和感を覚えてしまうのは私だけだろうか。ブライト・アイズはバンド形式で活動してきたとは言え、中心であるコナーとマイク・モギスとネイト・ウォルコットを除けばメンバーは作品ごとに異なるし、そもそもブライト・アイズはコナーの歌があるからこそ成り立っている。10代の早いうちからせっせと曲を書き溜めていたコナーが、幾つものバンドを経ながら基盤としてきたのがブライト・アイズだったわけで、アルバムを重ねるごとにゲストも多様さを増していく様はさながら、孤高の宅録少年が分かり合える仲間を増やしていくかのようであった。今作はそうした居心地のいい場所から離れ(レーベルもサドル・クリークではなくマージから)、「個」で勝負するというのだ。
とはいえ、サウンドとしては『ワイド・アウェイク』や『カッサダーガ』と地続きの、温もりのあるカントリー・テイスト。M6やM11のようなバンド・ジャンボリーもあれば、M4やM7のようにアコギ中心のひたすらシンプルに紡がれる歌もある。劇的にサウンドが変わったわけではないが、この作品でのコナーはとにかく生き生きとしているのが印象的。『フィーバーズ』のときのような窒息しそうな切迫感ではなく、健やかに歌うことを楽しんでいる。「少年が大人になった」と言うとさすがに大げさだけど、彼は確実に新たなフェーズに突入したのだろう。憂いにうち震えた彼の歌声と、生々しくも詩的なリリックが、我々の心をぶっ刺し続けて早10年。吟遊詩人コナーはどこへ向かうのか。(林敦子)