ワン・デイ・アズ・ア・ライオンこれは嬉しい誤算だ。レイジが活動を停止させたあと、幾度となく囁かれてきたザック・デ・ラ・ロッチャのソロ・プロジェクト。ザック自身にとってもレイジをストップさせた最大の目的がそれだったはずで、当然トライアルは続けられていたのだと思うが、形にならないままここまで来てしまった。そしていきなり届けられたのがこれである。ジョン・セオドアののた打ち回るようなドラムに被さるキーボードのレイヤー。そしてザックの、あの声。ワン・デイ・アズ・ア・ライオンを形作っている要素はそれだけだ。もっと作り込んだものになるのではないかと想像していたが、実際にはこんなにもラフな音だった。むき出しだ。
今年来日した再結成レイジのライブ。これ以上ないというほど完璧なパフォーマンスで楽しませてもらったが、その完璧さがかえって不安だった。何だろう、たしかにそこにはザックもトム・モレロもいて、鳴っている音はレイジ以外の何物でもなかったのに、そこに「レイジによるレイジの再演」以上の何か、鬼気迫るようなアクチュアリティが、どうしても感じられなかったのだ。だが、このEPにはそれがある。聴いた瞬間に「あ、これだ」と思った。たった5曲、音の軽さもあってあっという間に聴きとおせてしまうが、この攻撃性、このラディカリズムである。歌詞も9・11〜イラク戦争以降の「いま」に焦点が当たっていて、ザックが明確なテーマをもってこのプロジェクトに挑んでいることが分かる。本作は挨拶代わりだろう。「次」の展開ですべて分かるはずだ。(小川智宏)