「不動の星」が流す涙

音速ライン『「ポラリスの涙」』
2008年09月24日発売
音速ライン 「ポラリスの涙」 - ポラリスの涙ポラリスの涙
これまでの音速のシングル曲の中でも、特にスケールがデカい。なにせ超能力を持った少女たちが様々な事件に巻き込まれていくアニメのエンディング曲なのだから、彼らが発注を受けた段階で楽曲の世界観が壮大なものになるのは予想できたこと。ただこれほどのスケールの楽曲を、今奏でることができるという事実そのものが、何よりもバンドの到達点、そして転換点を物語っているのである。

アコギとピアノの音色が柔らかな旋律を紡ぎ、そのメロディにそっと寄り添うように歌われるどこまでも優しいボーカル。そしてそこに加わるストリングスは、楽曲のスケールを増大させるのに一役も二役も買っている。ただ、あくまで「装飾」として機能するこの弦の調べ以上に、この曲の度量を広げているのは、やはり藤井が描き出す歌詞である。愛していながらも距離がある異性を「北極星」に見立て、≪今すぐに逢いに行けたら 心のままに君を抱きしめたいよ≫と歌われる地上からの切ない思い。前回の“ロレッタ”もそうだが、現在の音速は「宇宙的な」スケールで世界観を構築しているのだ。ついに勝負のときが来た。(洪弘基)
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