昨年3月に配信リリースされた“世界中に花束を”では、《僕は今無力だ》と歌ったバックホーン。あれから約1年、この新曲“シリウス”では《立ち尽くすあなたの為／今何ができるのだろう》と歌っている。肯定の力はサウンドやビートを変える。栄純が弾くギターリフは鋭さを増し、岡峰のベースラインは自由度を上げ、そして松田のドラミングは、とにかくパワフル。何よりも山田の歌が、今バックホーンが立つ地点を如実に物語っている。1年前、失われた生命へのレクイエムを歌い、そこにそっと花束を添えたバックホーンが、再び命のリアルに正面から向き合っている。
　
そもそもバックホーンとは、生きている理由や意味を、その根源から問い続けてきたバンドだ。なぜこの音が鳴り、この言葉が発せられるのか、すべてが明解で、必然性に満ちたバンドだ。そんな強靭なバンドだからこそ、この1年の間に起きた未曾有の出来事にはセンシティヴにならざるを得なかった。再び前線で闘うバンドの意思を、地球から見える最も明るい星で表現するところに、彼らの本気度が伝わってくる。（徳山弘基）