ATDI再結成のその前に

ザ・マーズ・ヴォルタ『ノクターニキット』
ザ・マーズ・ヴォルタ ノクターニキット
マーズ・ヴォルタにとって、音楽的な限界というのは無意識のうちに作り手・あるいは聴き手が頭の中に自ら作り出した安全弁に過ぎないのだろう。ロック、フリー・ジャズ、ヘヴィ・メタル、ラテン、ハードコア、コズミック・ロック……と入り組んだ音の迷宮と特異な世界観を構築、セオリーから逸脱しフロンティアを探求し続ける彼らは、数少ないモダンな音の宇宙探索隊のひとつと言える。
 
その感服せざるを得ない野心とぶっ飛んだドライヴは本作でも健在。70年代前半のクリムゾン好きなら随喜!のMVらしいハイ・オクタン曲もあるし、ツェッペリンを思わせるフォーク味~エピックな叙情性も前作から引き継がれているが、このバンドにしては音数を絞り、全体にエレクトリックなテクスチャリングとエフェクトを施したプロダクションはひと味違うトリップを生んでいる。この新たなアプローチが成果を上げているのはM7他の長尺曲で、1曲に余裕で3曲分のアイデアを詰め込む彼らの過剰なテンションは近年のコンパクト志向(本作もノーマルに3、4分台な曲が多い)からハミ出しているのを実感。もっと遠慮なく暴れてほしいところだ。(坂本麻里子)
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