一昨年の究極のモータウン・カヴァー・アルバム『ゴーイング・バック』をもって当面は引退すると宣言したフィル・コリンズのライヴを収録したDVDが本作。特にこの作品はスイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに出演した96年と04年の模様を合せたもの。実はフィルは何度かこのフェスに出演していてその度にかなり趣向を凝らしたセットを用意しているのだが、そんな代表例として96年、そしてストレートにフィルのライヴをを披露した04年のライヴのカップリングとなっている。04年のライヴは25演目ノンストップで演奏するという圧巻な内容で、しかもどの曲も聴き馴染みがあるという驚愕の事実に時代をある意味で作りあげたフィルの凄さをあらためて思い知らされる。96年ライヴはフィルがドラムに徹してビッグ・バンド・オーケストラのメンバーとなり、このバンドをクインシー・ジョーンズが敷きするというあまりにも手の込んだ内容のショー。ヴォーカルはとらずリード楽器に任せ、時にはトニー・ベネットも登場する。この先、現役復帰するにはこれくらいの刺激が本人にないと無理ということなのだろうか。(高見展)