フランツ・フェルディナンドの新作リリースもようやく現実味を帯びてきた今日この頃、そんなフランツの活動の傍らでアレックス・カプラノスが惚れこみ、全編プロデュースを手掛けたことでも話題の新人がこのシチズンズ!だ。ロンドン出身の5ピース・バンドである彼らの主体はギター・ロックなのだけども、所謂UKギターの伝統とはかけ離れた音を鳴らしている。その一方で、幾何学模様を描くようなリズム・パターンや温かなアナログ・シンセの音色には80Sのポスト・パンク、エルやチェリーレッドのような古き良き時代のインディ・レーベルが作編したEPみたいな香りが漂っていて、そんな彼らをアレックスが原石と捉えて「磨きたい」と思ったのも納得のいく話だ。そして実際に彼に磨かれた本作は、Kitsuneの先輩であるトゥー・ドア・シネマ・クラブと比較しても遜色ない今様のポップ・アルバムとしても聴ける優れ物となった。さらにこのバンドのもうひとつの魅力はマーティンの声だ。スージー・スーやPJハーヴェイみたいなちょいハスキーな女声にも聴こえる彼のユニセックスなヴォーカルが、本作に艶と色を上塗りしている。(粉川しの)