どうにも感慨深いソロ・デビュー作である。2010年に解散したスーパーグラスのギャズによるもので、ザ・ホットラッツという課外活動はあったものの、スパグラ時代を通じても本格的なプライヴェート・プロジェクトとしては初。幾らジョークやウィットを飛ばしたところで、彼らは基本的にとてもロマンチックなロック・バンド幻想を抱えてきたグループだったのだと思う。バンドを完全に清算した上でのソロ作、しかもプロデューサーが『アイ・シュド・ココ』と同じサム・ウィリアムスと来れば、たとえ深読みだとしても「ロマンチック過ぎる再出発」に思いを巡らせるというものだろう。
多くの楽器はギャズ自身によって演奏されているそうで、エレクトロニックなトラックを組み上げているものもあるが、我々の知っている彼からそう遠く掛け離れてはいない。しっかりとしたソングライティングをベースに、正しく力強いソロALを作り上げている。サイケでエクスペリメンタルな音像、しかしガッチリUKロックしているという意味では、ポール・ウェラーの近作とも相通ずる。本編終盤の一曲“ファンファーレ”はとりわけ白眉だ。(小池宏和)