移籍後初となるフルアルバム。タイトルを見れば分かるとおり、強烈な確信に満ち満ちた作品だ。ロック村だけで愛玩されるような、建前が虚勢を張っている歪んだインディー／オルタナ思想は本作にはまったくない。人々の生活と密に結び付きあって、聴く者の脳波と脈動と歩調をがっちりと支えるポップ・ミュージック＝ロックが弾き出されているのだ。未来へのビジョンを強く抱きしめたまま、ロックが本来備えていた絶大な求心力をフレッシュな意志で奪還している。

彼らが標榜していた「踊れるロック」のテーマは健在だが、かと言って強靭なリズムだけが重んじられているわけではない。先行シングルの曲群はもとより、エジプト／アラブ風のギター・フレーズを用いた“PYRAMID CRASH”にせよ、印象的なアルペジオのリフレインが紡ぐ“シラフの月”にせよ、メロディのフックで聴く者の体に訴えかける技は他でもない和田の強みだ。それが全編に亙って溢れ出ている。ラストのタイトル曲など、エンディングというより新しい物語の始まりを感じさせるドラマティックで熱いロック・ソングなのだ。（小池宏和）