今や誰も顧みない「ニューレイヴ」や「ニューエキセントリック」だが、当時のUKのバンドが体現していた実験精神や折衷主義は決してトレンドではなかったと彼らの音楽を聴いて再確認する。それは00年代のブルックリン勢やフリー・フォークの台頭が昨今のUSインディ.アンダーグラウンドの活況を導いたように、いわば歴史の連続性をそこに感じることができるからだ。この3人組はその最前線を示すサンプルだろう。スタイルはミニマルなエレクトロニック・サウンド。テクノからプログレやノイズまで包括する横断性にはクラフトワークやスロッビング・グリッスルの影も浮かぶが、ムードは快楽主義ともダダイズムとも異なる。サイケデリックだが物質的な冷たさはマーティン・レヴが主導権を握ったスーサイドのような趣も。一頃前ならUKポスト・パンクやエレクトロクラッシュの文脈に回収されかねない面もあるが、一方で近年ではジーズ・ニュー・ピューリタンズの新作やデムダイク・ステア以降のアンダーグラウンド・ディスコと応答関係を示すモダン・ゴシックな属性に興味を惹かれる。本作はアルバムだが、DFA等からリリースされたシングル群もマスト。(天井潤之介)