ちゃぶ台返しの快楽

モーモールルギャバン『Live at Zepp Tokyo 2012.6.22 : エンペラー』
2012年10月03日発売
DVD
モーモールルギャバン Live at Zepp Tokyo 2012.6.22 : エンペラー
ゲイリー・ビッチェという人は、目の前にちゃぶ台があったらひっくり返さずにいられない性格なのだなあと思った。『僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ』発表後のライヴの映像である。なるほど若さを叫んだ元気な演奏になっているし、暗闇というよりは明るさのなかで命が迸る陽気な内容になっている。モーモールルギャバンはギターなしのトリオ編成だけれど、キーボードのフレーズや音色によってポップな曲、パンキッシュな曲という変化を上手くつけている。
 
彼らのステージ進行は、かなり破天荒だ。ピアノのバラード“Good Bye Thank You”をうっとり聞かせた直後、ゲイリーが「うんこ、ちんこ」などと叫び、銅鑼を鳴らす破壊的な曲“野口、久津川で爆死”に突入する。そもそも、キャッチーな曲は他にも多いのに“パンティー泥棒の唄”が1曲目だし、後半のコール&レスポンスは「パンティー、パンティー」だし、何度もこの言葉が飛び出す。わかりやすいポップさ、うっとりな雰囲気を狂騒的なカオスへとちゃぶ台返しする場面が多い。やりたい放題の自由と快楽が、ここにはある。(遠藤利明)
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