ジョン・レノンを思わせるファニーな歌声。アナログ・シンセとアルペジエイターとファズ過多なギターが渦巻くアンサンブル。ジャジーな薫りも漂わせるビートで聴く者をゆったりじっくりと快楽の底へと誘うドラム……などなど、60年代サイケデリック・ロックを思わせるテクスチャーを迷いも衒いもなく鳴らすことで、いとも鮮やかに時代の鎖から開放して「今」の音に塗り替えるオーストラリア発の異才=テーム・インパラ。だが、彼らのサイケデリック感を支えるのはそのローファイでキッチュなサウンドの質感よりはむしろ、コードとメロディの位置関係のほんの少しの軋みがもたらす感情の揺らぎを丁寧にキャッチしてみせる瑞々しいアンテナのほうだろう。ということを、彼らの2ndアルバムである今作のM2〝アンドール・トワ〟やM3〝アポカリプス・ドリームズ〟といった楽曲群の、シューゲイザー系バンドのサイケデリアとは一線を画した、遊び心とクールさに満ちたサウンドスケープが雄弁に物語っている。09年にはアルバム・デビュー前ながらサマソニ来日も果たしている彼ら。その音がシーンの地軸を歪ませる日も近い?(高橋智樹)