前作『君がまたブラウスのボタンを留めるまで』にも《君》という言葉が掲げられていたが、それは今作の《君》とはニュアンスが違うように思える。特定の《君》への思いを発端に、金井が自分自身を曝け出した前作に対して、今作はたくさんの《君》に向けて歌われているように聞こえてくるのだ。それで思い出したのは、前作のリリース・ツアーで声が出なくなってしまった金井に、オーディエンスが後押しするようなヴァイブスを送っていた様子。そして、シングルで“Mr.&Mrs.Baloon feat.GEROCK”をリリースした時の金井の、少し無理をしてもジェットを利かせたかったという言葉。そこからは、今作を聴いてくれる《君》がいるから生きていける、《君》のために頑張る、そんな前向きな姿勢が浮かび上がってくる。ラストを飾る、甘酸っぱく壮大なバラード“ライフ・イズ・ミルフィーユ”は、BIGMAMAと同じ世代がちょうど意識し始めるような、生活と地続きの愛の歌。いよいよ彼らは、ライヴハウスに通うキッズや、重い過去を抱えた人たちなどといった、特定の枠を飛び越えて聴かれていく気がする。(高橋美穂)