「HOWL」というプロットを最初に見せたのは昨年12月に行った、親交のある豊田利晃監督とのコラボ・ライヴ。曲に合わせて流れた映像には、アレン・ギンズバーグの代表作「HOWL」(吠える)が引用されていた。サイケデリックなギターも得意なヤマジカズヒデが元祖ヒッピー詩人に心酔してもおかしくないが、加えてギターのハウリングとも重ねているのがヤマジらしい。
スリリングなギターリフとヒプノタイズなビートが脳みそを掻き回してくれる表題曲を始め、歯切れのいいポップ・チューンやヤマジが初のファルセットに挑んだ曲など多彩な11曲を収めた『HOWL』。一方『OWL』は、30分弱になった豊田作品のサントラ曲の新版など4曲入りで、じっくりdipの真の姿を浮き上がらせる。両方聴くべき2作。(今井智子)