スウェーデンはマルメ発の宅録ソロ・アーティスト、デヴィッド・アレクサンドルによるファースト・アルバム。個人的には、ウォッシュト・アウトが登場してきたときと同じような嬉しさを感じる作品。ポスト・チルウェイヴと括ることもできるけど、夏とビーチと愛を堂々とテーマに掲げるサマー・ハートのサウンドはもっと普遍的なものである。バレアリックやダウンテンポ・テクノといった要素をほんの少しずつ滲ませながら、例えば〝アイ・ウォナ・ゴー〞などで漏れ聴こえてくるスウェディッシュ・ポップの輝き、ギターポップの清冽さの抗えなさと言ったら! インディ・エレポップの見本というべき仕上がりである。ウォッシュト・アウトや初期のトロ・イ・モワと同じように、「声」を楽器のひとつとして用いながらも、あくまでも心象風景を描き出すための表現ツールになっているところがいい。例えばティコやティーン・デイズ、ビビオなどとも共振するノスタルジック・サウンドにドリーミー・シューゲイザーのエッセンスを注入して、さらにエヴァーグリーンな声ときらめきを加えたような理想の一枚。この夏何度も聴きたいアルバム。 (羽鳥麻美)