元ポニーテイルのメンバーでダーティー・プロジェクターズやビーチ・ハウスとも親交の深いダスティン・ウォング。彼らとカップリング・ツアーを行うことも多々あり、ここ日本でもその2者の前座を務め場内をあっと言わせたのを覚えている読者もいるだろう。無数のエフェクターを操りマントラのようなヒプノティック・ループを即興で創り出すのが彼のスタイルである。それが斬新であるのは言わずもがな。さらに、00年代半ば以降、USインディの合言葉となっているハーモニーをたった独りで、しかも声ではなく音を中心とした方法論で生み出してしまう、そんなダスティンの類稀な才能がついに完成形を見せるのが本作だ。この5作目は、『インフィニット〜』、『ドリームズ〜』に続く最終章に位置づけることができる。これまでよりぐっと空間を活かし、どこか牧歌的でもあったメロディやグルーヴはストイックを極める。ほんわかした第一印象とは真逆な、ナードな理系体質らしい進化で、もはやプログレッシヴ・ロック的な広がりを見せた傑作になっているのだ。聴き心地の良さを超越してうっとりさせられるアルバムである。 (羽鳥麻美)