どこまでも聴きやすい洗練

ザラ・マクファーレン『イフ・ユー・ニュー・ハー』
2013年12月11日発売
ALBUM
ザラ・マクファーレン イフ・ユー・ニュー・ハー
数年に一度の割合でイギリスはブルースやR&Bの伝統を深く汲んだ天才的な女性ヴォーカリストを輩出しているが、このザラ・マクファーレンもまた間違いなくそうした逸材。ただ、ザラが歌うのはあくまでも正統なジャズ・ヴォーカルで、それは少しもR&Bやポップスに擦り寄っていない。そこにヒット性はあるのかと問われたら、ないとしか答えようがないが、それでもザラの歌には万人の琴線に触れるわかりやすさが伴っていて、聴き手の胸にすっと入ってくる不思議な魅力に満ちている。ザラはアデルやエイミー・ワインハウスらを輩出した舞台芸術専門校ブリット・スクール出身で、もともとはミュージカル演劇志望だったとのこと。ミュージカルで使われる楽曲が大好きだったというが、そうした楽曲はどれもジャズ・スタンダードでもあること、そしてジャズ・ヴァージョンの方が好きだとわかってこの道に入ったという。このわかりやすさと馴染みやすさもそうした素質のせいなのか。安っぽくわかりやすくしているわけでもなく高踏的でもなく、どこまでも聴きやすいこのジャズ・ヴォーカルは稀少な才能だと言わざるを得ない。(高見展)
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