スコット & リバースはなぜこんなに自由で特別なのか? ふたりに訊く

スコット & リバース

USオルタナシーンの第一人者であるリバース・クオモ(ウィーザー)とスコット・マーフィー(アリスター / MONOEYES)によるプロジェクト=「スコット&リバース」。彼らが2013年にリリースした1stアルバム『スコットとリバース』はまさに、J-POPの面白さをどこまでも痛快に突きつけてくれるポップの黒船そのものだった。そして、2015年のしばしの沈黙期間を経て、8/10リリースの配信シングル“Doo Wop feat.キヨサク(MONGOL800)”“FUN IN THE SUN feat.PES(RIP SLYME)”でいよいよ本格始動。現在制作中だという2ndアルバムへ向けて、より自由でチャレンジングな追い風の真っ只中にいるスコリバのふたりを直撃!

なお、本人の希望により、今回は日本語メイン(文中の※~※印間のみ英語発言を和訳)でのインタビュー。ほぼ日常会話はパーフェクトで、リバースの通訳代わりも果たしてくれたスコット。カタコト混じりながら、思わぬ角度から名言をぶっ込んでくるリバース。そんな対比も含めてご堪能いただければと思う。

インタビュー=高橋智樹

日本の音楽シーンは、私に自由をくれる。アメリカでこのスタイルは無理だと思う(リバース)

―― 昨日(8/24@渋谷WWW)はスコット&リバースとしては久しぶりのライブでしたね。

リバース・クオモ(Vo・G) Awesome(最高)。すごく楽しかったです。

スコット・マーフィー(Vo・G) もっとやりたかったね。

リバース 僕らの歌とパフォーマンスが、いいケミストリーを生んでて……It's just fun(純粋に楽しかった)。ウィーザーは、ときどき、仕事みたいです。

―― (笑)。でもスコット&リバースは違うと。

リバース うん。楽しかった。

―― その「スコット&リバースの特別な空気」を、改めて感じるライブだったと思うんですけど。

スコット うん。いつも、違うバンドだとライブ前に「今日、MCで何言ったらいいかな?」って考えるんだけど、リバースと一緒にやると、自然に面白いMCが出てくる(笑)。

―― 昨日も「漫才みたい」っておっしゃってましたけども。

スコット そんな感じだよね。

リバース うん。ホッとする。フロントマンがホッとする。

―― この間のサマーソニックでも、ウィーザーとMONOEYESの出演が同じ日で。ステージは離れているし、出番の時間も近かったんですけど、ウィーザーのステージにはスコットさんが、MONOEYESのステージにはリバースさんが――しかも「特別なことやるぞ!」っていう感じじゃなくて、至って自然にゲスト出演してましたよね。

スコット そんな感じだったね。急に決まったことだったし、飛び入りで。

―― 今回の“Doo Wop”“FUN IN THE SUN”にも、そういうおふたりの特別な空気感が出てますよね。昨日のライブでも、すっかりスコリバの名曲として受け入れられてる感じでしたし。

スコット なかなかないんじゃない? こういうバンド。独特だと思う。

リバース ほんと、日本の音楽シーンは、私に自由をくれます。曲は複雑で、面白くて、メロディック。たとえば、昨日のライブで演奏した“変わらぬ想い”は、アメリカでこのスタイルは無理だと思います。でも、日本の観客はわかります。

―― なるほど。

リバース 日本の観客は、変なこだわりがなくて。全部のスタイルがわかります。だから、“変わらぬ想い”みたいな曲もあれば、スコットのラップが入ってる“FUN IN THE SUN”みたいな曲もできる。

スコット ラップパートは、ほんとはPESさん(RIP SLYME)だけどね。

リバース あとは“Butterfly”(木村カエラ)のカバーをやってもいいし。ピアノがメインの曲も、ギターがガンガンに鳴るロックも、何でもやれるよね。アメリカだとバンドは、ジャンルがSpecific(はっきり限定された)じゃないといけないって思われていて……Specificって、日本語だと「トクテイ」?

―― ああ、「特定」ですね。

リバース ジャンルが決まってないと、聴いてもらえない。だからウィーザーも、小さい箱に、住まなければいけません。

スコット じゃあ、スコット&リバースはどんな箱?

リバース スコット&リバースには、箱がない。オープン。We can do anything!

自分でもヒップホップのパートを書いたんだけど、日本のヒップホップアーティストが考えるものと、アメリカ人が考える「A-POP」は全然違うなあって(スコット)

―― 今回、PESさん、キヨサクさんとコラボっていうアイデアはどこから?

スコット もともと「コラボレーションできたらいいな」っていう話をしていて。2曲シングルを出して、せっかくなのでどちらもコラボできたら、っていう話になって。“FUN IN THE SUN”は「ヒップホップを入れたら面白くなるんじゃない?」って思った時に、一番最初に思い浮かんだのがRIP SLYMEだったから。声をかけたら「出る」って言ってくれて。

―― へえー。

スコット で、スタジオに行って――ラップのパートの歌詞を作ってくれるか、ギリギリまで僕は知らなかったから、自分でも一応、ヒップホップのパートを書いたんだけど、彼が歌詞を書いてくれて。僕が書いた歌詞と、彼が書いた歌詞は全然違って(笑)。日本のヒップホップアーティストが考えるものと、アメリカ人が考える「A-POP」は全然違うなあって。

―― どの辺が一番違うと感じました?

スコット 何だろう……ノリ? メロディのセンスとか。超カッコよくなった、一部だけだけど(笑)。キヨサクも、曲を聴いて「ああ、ぜひぜひ」って言ってくれて。彼はすごくトクドクの――独特の(笑)。彼(リバース)が今朝からずっと「トクドク」って言ってるから、僕の「独特」が「トクドク」に――。

リバース 影響?

スコット そう(笑)。で、キヨサクがすごく独特の声してるから、独特の響き。

リバース ※ふつう、こういうフィーチャリング企画ってどういうことがきっかけになってるのかな? レコード会社から「こういう企画をやるように」って言われてやるのか、お互いに相手のアーティストが好きだったりするのか、どうなのかな?※

スコット ※うん、最初はやっぱり、相手のアーティストが興味を持ってくれるか、ってところだよね。本人がやりたいって話になれば、あとは周りが話をつけてくれるっていう順番だと思うよ。※

リバース ※それならいいよね。※

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