――どういうふうに始まったバンドなんですか?
岩田陽平(Dr) 高校からもともと曽根と小澤(大地/B・Cho)が知り合いで。そのときは一緒にバンドやってたわけじゃないんですけど、大学で、ふたりでたまたま一緒になって、じゃあバンドやろうか、っていう感じで。
――こういうバンドにしたいっていうビジョンはあったんですか?
曽根 いや、特にはなかったです。そのときから、僕が作ってくる曲に合わせていくっていうスタイルでしたね。僕が本格的に曲作り出したのも、ちょうど大学に入ってからだったので。
――T/ssueっていうバンド名は何故に?
曽根 バンド名は、みんなで部屋で考えてたんですけど、考えつかなくて。で、もうそこにあるティッシュの文字があって、そこからなんですけど(笑)。
岩田 全然思い浮かばなくて。やっぱり大事だよな、バンド名、みたいな。で、考えに考えた末、シンプルがいいって言って、T/ssueになりました。
――読み方はティシューですもんね。
曽根 ちょっといろいろと工夫したんです(笑)。
花岡直(G) スラッシュ入れて、読み方変えて、ちょっと違う感じにしとこう、みたいな。さすがにティッシュはまんますぎるので(笑)。
――音楽やりたいとか曲を作ろうって思ったきっかけは何だったんですか?
曽根 僕は中3のときに友達に誘われて、最初は遊びでやってたんですけど、結構自分のなかで、「あっ、これだな」っていう感じがあって。今まであんまり続いたものとかってなかったので、僕にはこれしかないんだなって思ったというか。
――なるほど。私がT/ssueを聴いて思ったのは、とにかく曲が良いなと。聴く人を限定しないで、広く届く力があるなと思ったんです。
岩田 嬉しい。
曽根 まさに目指してる感じというか。とにかくいい曲を書きたいっていうのがあるんです。
岩田 ほんとに、若い子にも親の世代にも気に入ってもらえたら一番いいなってなるね。
――曽根さんの声がすごく良いですよね。
曽根 ありがとうございます。でも、もともと歌が得意じゃないというか、結構コンプレックスだったんですけど。小学校の頃に、音楽の時間に女の子に「なんか声が変だね」って言われて(笑)。それ以降歌ってないんですよ、もう歌わないって決めて、カラオケ行っても歌わないし。でも中学の最後らへんに、友だちから合唱で歌ってるときに、「声いいね」って言われて、あ、じゃあ歌ってみようかなってなって。
岩田 単純だな(笑)。
――(笑)作詞作曲も曽根さんが手がけていますが、曲はどういうふうに作っていくんですか?
曽根 もとになるメロディであったり、一番キャッチーな部分だったりとか、そういうものは自然と降ってきたときに日々貯めてくっていう感じで。逆に一から作ると、あんまり納得できるものができないので。
花岡 たまに、降りすぎて練習が一週間ぐらい空いたときに、5曲できたから聴いて、みたいな。「アレンジどうすんの? 大変だよ!」みたいなのはあります(笑)。
曽根 そう(笑)。自分は、ギターロックとかそこらへんを主に聴いて育ってきて。で、今は曲も書いてる立場ですけど、他のメンバーが、メロコアとかもっと違う畑の音楽を聴いてバンドをやってきたから、メンバーに曲を振ることでひとりで全部作るのとはまた違うものができるんじゃないかなっていう期待はありますね。
――今回、初の全国流通盤でレーベルにも所属してっていうところで、これからバンドとして進んでいくためのスタートラインに立ったんだと思うんですけど、まずこの『White』を作ってみて、手応えはどう感じてますか?
岩田 手応えはありますね。まず聴いてから文句言えって感じです(笑)。
曽根 とりあえず聴いてほしいですね。で、それでダメなら、俺らが悪いからっていう。
――結成してから2年経って、地元の名古屋ではイベントにも出てライヴもたくさん重ねてきたと思うんですが、2年かけて自分たちの中で何か音楽に対する向き合い方とか、意識として変わってきたことはありますか?
岩田 たぶん前のCD(タワーレコード名古屋パルコ店限定アルバム『An Apple』)を出したときかな。そのときにやっぱり、僕たちのことを知らない人にいっぱい聴いてもらえる機会が増えて、ライヴに来てくれる人も増えて。それで、これほんとにT/ssue行けんじゃないか?じゃないけど、本気で音楽やってこうって――前から思ってはいたんですけど、そういう気持ちにますますなったというか。
曽根 『An Apple』は店舗限定だったんですけど、お店でかけたっていうだけで買ってってくれる人が結構いる、みたいなことを聞いたりもして。引っかかるものがあるのかなっていう手応えは感じたよね。
岩田 自信を持てたというか。ほんとに、ただ流れてるのを聴いて、店員さんに、「これ誰の曲ですか?」みたいに聞いてくれる人もいたらしくて。それってすごいなと思ったし、じゃあこれはもう行くしかないっしょ、みたいな感じでしたね。
曽根 でも、その分、期待してくれてライヴ来てくれる人を裏切らないようなライヴをしなきゃなっていうのも、今までよりも一層強まりましたね。
――1曲目の“イノセント”の《分かり合えない世界で/今日もきっと歌う 一人でも 矛盾に溢れている毎日に》っていう歌詞も、自分が歌う意味やバンドをやる意義っていうところに向き合ってますよね。
曽根 そうですね。うまくいかないこともいろいろあるけど、どこかにちょっとでも幸せなことは転がってるんじゃないかなって僕は思うので。だから、それを純粋に信じる気持ちを感じてもらえたらいいかなっていうのはあります。でも、聴いた人の中でちゃんと消化してほしいっていうか、みんなが同じように感じるんじゃなくて、それぞれの経験だったりそのときの心境と重ねてもらえたらいいなとは思ってますね。
――歌詞を書く上で変わってきたことはありますか?
曽根 2年間かけて徐々に自分たちが作ってきた曲とかライヴも踏まえて、こういうふうに伝えたいっていうのが明確にできてきたっていうのはあります。でも歌詞だけに重きを置きたくはなくて、やっぱり詞とメロディの関係性がすごく重要だと思ってて。どんなにキャッチーなメロディでも詞が乗ってないとキャッチーに聴こえなかったりすると思うので、そこを一番大切にしているところはずっと変わらないです。キャッチーなだけじゃなくて、ちゃんと伝えることも伝えてって、両立したいなって思ってて。すごいいいことを歌っていたとしても、キャッチーじゃないと心に残らないなって思うので。
岩田 俺らもどうしても歌を押したいというか。だから、歌を邪魔しない、歌がないところで他の楽器でしっかりやる、みたいなのは心掛けてますね。
花岡 今回は前のアルバムと全然違って。前はわりとギターロック調な音質だったと思うんですけど、『White』はもう、「歌聴かせまくるぜ!」みたいな感じだったかな。