ちゃんみなの2ndアルバム『Never Grow Up』完成。彼女の歌はなぜこれほど心を揺さぶるのか?

ちゃんみなの2ndアルバム『Never Grow Up』完成。彼女の歌はなぜこれほど心を揺さぶるのか?

ひとりで生きていけるんですよね。じゃあ強いのかって言われたら、ちょっと違う


──ちゃんみなさんの場合はどんなネガティブな感情もすべてストレートにリリックに落とし込んでいきますよね。それはちゃんみなさん
の強さなのか、それとも歌に書かないと感情の整理がつかないという意味での、ある種の弱さなのか、どっちなんだろうって時々思うんですよね。

「たぶん、『書かないと──』っていうほうだと思います。(ちゃんみなの)強さって、皆さんよく言ってくださるんですけど、そんな無いんですよ。怖いとかは思わないですけど、傷つくのは傷つくし」

──「強く生きていかなきゃ」みたいなことを発信しているつもりもないですよね。

「ないです。『頑張ろうぜ』とは言ってますけど。うーん。強いと言えば強いのかな。でもなんか変な強さなんだと思います。私の場合」

──と言うと?

「自分から傷つきにいくことは恐れないっていうか……いや、それも違うな。私はひとりで生きていけるんですよね、基本的に。全然大丈夫って感じなんですけど、じゃあだから強いのかって言われたら、ちょっと違う気がしていて。ある人から見たら強いのかもしれないけど、だからと言って私、好きな人にしゃべりかけたりできないですし。LINE教えてとかも言えない(笑)。それって弱さと言えば弱さじゃないですか」

──うん。確かに。

「だから私は聴いてくれる人に『強くあれ』とは言ってないです。“PAIN IS BEAUTY”にしても、強くあるべきってことではなくて、《戦ってみせてよ baby》っていう歌詞も、『頑張ろうぜ』って言ってる感じ。ほんと強くなくて全然いいと思います」

──今回のアルバム作品は、サウンド的にも歌う内容にしても新機軸となる楽曲がたくさんあって、たとえば“GIRLS”みたいな女同士の友情を描いたものもそう。これはリスナーからしてもすごく力をもらえる楽曲なんですけど、ここで歌詞に出てくる名前も、実際の友達の名前?

「そうなんです(笑)。これもパーソナルすぎますよね。でもそれはそれでいいのかなと思って。うちのガールズって、中学生からずっと友達なんですけど、私は夢を叶えたいがために、中学生の時に一度、友達を一気に切ったことがあって。何か失わないと手に入らないって思っていたから、携帯番号も変えて、高校行っても離れて、みたいなことをしてしまったんだけど、それでも私が夢を叶える準備ができた時に、まだ味方でいてくれた子たちがいて、その子たちのことを歌にしたんです。ずっと仲良しで、何があっても支えてくれるし、いつの間にか顔まで似てきて(笑)、ほんとにすごくわかってくれてる友達だなって」

──だからこれも大事な人に向けての曲っていうことですよね。あと、“Can U Love Me”は、スヌープ・ドッグ&ウィズ・カリファの“ヤング、ワイルド&フリー(feat.ブルーノ・マーズ)”などを手がけた、Marlon“Chordz”Barrowとのコラボ曲ということで驚きました。これがアルバムの中に普通に入っているのが凄いと思います。

「そうなんですよ。私のMVを観たかなんかで、彼のほうから声をかけてくれて、知り合いづてで連絡が来て、たまたま私もそのタイミングでLAに行く予定があったので、彼のスタジオでセッションをして曲を作りました」

──トラックができあがって、そこにちゃんみなさんが歌詞をのせて?

「まずはメロディだけを入れて、それを持ち帰って、日本で書くタイミングが来たら書きますっていう感じで。それで、この曲で描かれているような感情になった時、この曲が合うかもなって思ったので書きあげました」

──Marlonとのコラボ曲でありながら、この曲も完全に日本語メインのリリックなのが面白いなって思いました。

「なんか日本語がどんどん多くなってきたんですよね。最初は英語じゃないとはまんないって思ってたけど、だんだん日本語の面白さに気づいてきて。楽しくやってます(笑)」

私は女の子なんだなって思いました。意外といろいろ考えて、意外と傷ついてたんだなって


──“Like This”は大人の洗練を感じる、これも新たなちゃんみなさんの一面という気がしますね。フィジカルな恋を感じさせる曲。

「そうですね。こういうのも大事じゃないですか。草食系男子が多いこの頃で(笑)」

──こういうタイプの曲も、前から作ろうとは思っていたんですか? 機が熟すのを待っていたというか。

「特にそういう感覚ではないですけど……あ、でもこういうテーマは10代の時には書かないようにしてましたね。実際、こういう曲はなかったですし。こういう、男を引っ掻き回すみたいなテーマは10代の頃は作ってこなかったから、まあ20代になってからだなっていうのは、確かにそうですね」

──今回、ボーナストラックに“SAD SONG”というバンドサウンドでのロックチューンがあるのも新鮮でした。

「バンドサウンドの楽曲はずっとやりたいと思っていたんです。それを音源にするにはやっぱりバンドじゃないと無理だなっていうことになって。私にはバックバンドがいるし、みんなとも仲良いし、彼らにお願いしたらいいのかなあって。それで、ずっと前から自分のチームに向けて曲を作りたかったので、ちょうどいいと思って。やっぱり一番中心にいる大事な人たちだし、身内だけで曲を作るのはやったことがなかったし面白いだろうなって思って、それで声をかけたら二つ返事で『やろうよ。それ美しいね』って言ってもらえて。それで作った曲です」

──ポジティブで素敵な楽曲なのに、タイトルが“SAD SONG”なのはなぜなんだろうと思ってたんですが。

「そうなんですよ。なんか幸せすぎて悲しい、みたいな……20歳になって初めて、幸せってずっと続かないっていうことを知って、なんか終わっちゃうのは寂しいなっていうか。《永遠って事にしておこうよ》って最後には言っているけど、幸せすぎて悲しくもあるよっていう意味で」

──ああ、それで“SAD SONG”なんだ。切ない。

「うん。《この夢が終わる時はそっと教えてね》とか、もう終わるの前提で歌ってるので」

──ちゃんみなさんの歌詞はそういうとこ、ありますよね。

「なんか冷静なとこありますね。たぶん傷つきたくないからなんですよ。そこがちょっと弱い部分なんでしょうね」

──今回のアルバム制作は自身の感情に向き合う時間でもあったと思うんですけど、今完成して、改めて自分はどんな人間なんだと感じましたか?

「私は女の子なんだなって思いました。まだまだ少女なんだなって。ほんとに曲のとおりで、意外といろいろ考えてたんだな、意外と傷ついてたんだなって思いました」

──それが最初に言っていた「きれいな心のまま、この先も音楽をしていきたい」ってことにつながるんですね。

「そうですね。この感情が」

──大人になると、傷ついたことを忘れていく術も身につけてしまうけど、ちゃんみなさんはそういう自分の感情から逃げるのが嫌なのかもしれないですね。

「そうですね。ほんとそう思います」

次のページMV・リリース・ライブ情報
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする