HYDE、最新シングル『LET IT OUT』でロック新次元に立つ! 逆境に見出した「世界との向き合い方」とは? 最新インタビュー

次のアルバムに向けて、メタル感をもっと出していきたいんですよね。そうするとやっぱり、かっこいいリフがないと難しいなって

――HYDEさんの楽曲のアレンジって、メタルコア的なアプローチの曲が多いと思うんですけども。今回の“LET IT OUT”はもうガチのメタルというか、ジェントっぽいギターサウンド――6弦ギターでは出せない、それこそ7弦・8弦当たり前の重低音越しに美学とカオスを描いていくような、新しい扉を開いた楽曲ですね。

「ありがとうございます」

――今回、元TOTALFATのKubotyと一緒に制作しようと思ったのは?

「もともと、楽曲制作するために何人かの人に声を掛けていて、そのうちのひとりだったんですね。僕は面識なかったんだけど、ソニーの人がつないでくれて。何曲か送ってきてくれた内の一曲がこれですね。基本的には、メールで送ってくれたものを、僕がアレンジして交換する、っていう感じでしたね。すごく真摯に対応してくれて――おっしゃる通り、たぶん1音低く落としたかな? 『結構ヘヴィになったな』っていう印象があったんですけど、自分の中でこのサビのメロディが気に入っちゃって。『これ以上高いと、みんな歌えへんし』と思って(笑)、それで1音落としたりしましたね」

――MY FIRST STORYのShoさんであったり、PABLOさんであったり、ギタリスト兼ソングライターの方が、HYDEさんの音楽世界にどうアプローチして、どう広げてくれるか?っていうのを、HYDEさん自身も楽しみにしているようなところはあるんじゃないですか?

「やっぱり、僕はギターはコードをジャンジャンってしか弾けないので。リフとかになってくると、ずっとやっている人のほうがかっこいいものを作れるなあと思っていて。自分的にも、次のアルバムに向けて、メタル感をもっと出していきたいんですよね。そうするとやっぱり、かっこいいリフがないと難しいなと思って。で、今回いただいた曲とかも、すごいリフがかっこ良くて。最初はもうちょっとゴシックなメロディが入っていたんだけど、そういうのは全部取っ払って。構成もガラッと変えて、もう歌から始まるようにして――どんどんストリート感を出していって。自分の理想形に近づけていきましたね」

あまり日本のことを考えてなくて。「アメリカのフェスとかでどうウケるか」がいちばん念頭にある

――その「ストリート感」っていうのは、HYDEさんの世界を語るうえでのひとつ重要なワードですよね。よりメタル本来の質感は求めてるけど、「ゴシックなメタルの王宮を建てる!」という感じではなくて、それをストリートの音楽として着地させるっていう。なかなかないバランス感ですよね。

「うちのバンドってみんなマスクをしているので、これでメロディアスすぎると、なんか合わないんですよね(笑)。なるべく合わせたいっていう、雰囲気と楽曲をね。今回は特に、次のアルバムの一曲目にするような代表曲を――『これぞHYDEのニューアルバム!』みたいな方向性を、まず作りたかったんですよね。特にこの曲は、自分のやりたいことに忠実だった気がしますね」

――ちなみに、“LET IT OUT”の制作はいつ頃?

「曲の原型自体は2月ぐらいからでき始めていて、いざレコーディングって形になったのが、6月とか7月ですね。僕が結構『歌が気になるから』って、何回も録り直して。ミックスも、アメリカとのやりとりなんで、何回も何回もやりましたね、気に入るまで(笑)。時間があるから、コロナの影響で」

――HYDEさんの中でもひとつエポックメイキングな楽曲になっていくと思うし、世の中的にも「おおっ、HYDEサウンドにはこういう面もあるのか」っていう再発見につながっていくと思いますね。

「まあ、そうですかね。でも、あまり日本のことを考えてなくて。『アメリカのフェスとかでどうウケるか?』っていうのがいちばん念頭にあるので。もちろん、ファンの人は好きでいてくれると思うんですけど、日本のシーンに対しては『サビがメロディアスなら、多少は受け入れてもらえるんじゃないかな?』とか(笑)。そういうレベルでしか考えられてないですね。やっぱり、『L'Arc~en~CielのHYDE』っていう固定観念があるから。そういうのなしで一回聴いてみてもらいたいですね。特に、ハードロック好きな人とかには」

――HYDEさんは常々「海外で、特にアメリカでどう渡り合っていくか」ということを念頭に置いてらっしゃいますし、そのために自分の表現をブラッシュアップしていくことで、日本のリスナーに「もっと大きな音楽の地平があるんだよ」っていうことを見せてくれているわけで。その姿勢を、これ以上ないくらいの形で出してくれたのが“LET IT OUT”だなあと。

「嬉しいですね」

いつかコロナ禍が明けた時に、「つらいことあったけど、でっかい声出して吐き出そうぜ」って歌えれば、すごく感動的な曲になると思う

――前回の『BELIEVING IN MYSELF / INTERPLAY』以降の最新型の所信表明として、ものすごく機能的な一曲ですよね。

「ありがとうございます。まあ、前の曲(“BELIEVING IN MYSELF”)はタイアップもあったんでね。そのイメージも入れないといけなかったんで。今回は……ないんですか? タイアップは(とスタッフを見る)」

――はははは。

「まあ、ないみたいなんでね(笑)。思いっきり自分の好きなように――本当に自分がかっこいいと思う曲を目指しました。アメリカとかをツアー回った時に『この曲があったらいいな』っていうような曲を、今は集めている感じですかね。この曲で勝負したいなって」

――《When your life feels hollow/Just let it out》っていうフレーズは、特に今の状況の中で、強烈なメッセージ性をもって受け取る人は多いんじゃないかと思うんですけど?

「まあ、アルバムの一曲目を意識してたんで、《Wake it up(目覚めろ)》からスタートして――いつかコロナ禍が明けた時に、『つらいことあったけど、でっかい声出して吐き出そうぜ』ってアンセムのように歌えるのであれば、すごく感動的な曲になると思うんですよね。そういうのを目指しましたね。まあ、今でも吐き出したい気持ちはいっぱいあると思うんで、今でもいいと思うんですけど、明けた時にはさらにパワーを発揮する曲になるんじゃないかなと思っています」

――カップリングが、フェスバージョンの“GLAMOROUS SKY”で。かなりBPM速いですよね。

「速いです(笑)。これは――日本のフェスに出ることが最近多くて、その時にメジャーな曲をやると、すっごくウケるんですよね。じゃあ、“GLAMOROUS SKY”は僕が作曲しているから、せっかくなんでさらにフェスバージョンで、パンキッシュにやったら面白いんじゃないかと思って、PABLOにアレンジしてもらって。ライブでももちろん盛り上がるんですけど、せっかくなんでレコーディングしようと」

――“GLAMOROUS SKY”は以前、一回英語バージョンでもセルフカバーしてますからね。

「そうですね。あれは逆に、海外を意識してたと思います。今回はもう、『お前ら好きだろ? こういうの』っていう(笑)。フェスでこれはもう、圧倒的なパワーを発揮しますね」

ツアーでアメリカを回るより、「面白いアーティストがいるな」って思ってもらえるのは、ひょっとしたら配信のほうが早いかもしれない


――2020年っていう年は、L'Arc~en~Cielもツアーの途中からコロナの影響を受けて公演中止になりましたし。おそらくHYDEさんソロでも、コロナの状況がなければ「次はいつ海外ツアーに行くか」的な展開も考えていらしたかもしれないな、と想像していたんですけども。HYDEさん自身、2月以降のコロナの状況の中で、どんなことを思いながら過ごしてらっしゃいました?

「いや、もう……やる気なくなったなと。結構、これまでだとひと月でできるようなことが、2ヶ月ぐらいかかったりして。日常生活をなるべくエンジョイするというか――ちゃんと朝起きるとか、散歩するとか、そういう日々でしたね。まあでも、そんな中でも、ゆっくりですけど曲を書き溜めて、『いつ終わるんだろうなあ』と思いながらも……リリースだけはできるんでね、その計画だけは作っていましたけどね。でも、今となっては、ライブの配信をしてみたりして、『意外と面白いな』って自分の中では思えてきたので。これは今後も僕の武器にして、それを海外にも配信するようなことができればいいなと思っていますね」

――9月にZepp Haneda(TOKYO)で、「Acoustic Day」3日間と「Rock Day」2日間の有観客ライブ「HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde」を開催して、その模様を同時配信もしていました。実際どうでした?

「想像以上に良かったです。ファンもいたし、カメラをどう扱うかっていうのは結構得意なので。たぶん両方楽しめたと思います。すごくやり甲斐あったなって。あと、アコースティックはアコースティックならではのアレンジを、うちのバンドメンバーとできたのがすごく――別のベクトルでさらにどんどんいい曲になって、『この曲もっとやりたい!』って思えたし。ロックはロックで、衝撃的な映像をいかに作るかっていうことで、面白い映像ができたんで。それも今後につながるかなと。普通にツアーでアメリカを回るより、『面白いアーティストがいるな』って思ってもらえるのは、ひょっとしたらそっちのほうが早いかもしれないですね」

――年末には全国7会場11公演のアコースティックツアー「HYDE LIVE 2020-2021 ANTI WIRE」も開催されますね。

「今回はその、9月にやったアコースティックを、ちょっと拡大したバージョンになるかなと思いますね。すごくいいアレンジだったんで。あと、50%のお客さんで着席ってなった時に、やっぱりアコースティックのほうがいいのかなと思うし。かと言って、おとなしいアコースティックじゃないんで(笑)。声は出せないけど、みんなでいろんな音を出しながら騒げるようなアコースティックライブっていうものは、たぶんまだ誰もやってないんじゃないかな、って勝手に思っているんですけどね。そういうのも、僕らのファンは楽しめるだろうし。前回は東京だけしかできなかったから、次回やる時は日本中を回ることができるし。楽しいアコースティックライブになると思います」

――楽しみにしてます。アルバムはかなり曲もできてる感じですか?

「そうですね。曲自体は、あと数曲で――まあ、まだレコーディングしていないですけどね(笑)」


●リリース情報

New Single『LET IT OUT』

2020年11月25日(水)発売
2020年11月6日(金)タイトル曲配信開始
<商品内容>
【初回限定盤】CD+DVD
UICV-9329 価格:2,000円(税抜)、2,200円(税込)
DVD収録内容
“LET IT OUT”Music Video & Documentary
【通常盤】CD
UICV-5085 価格:1,200円(税抜)、1,320円(税込)

『HALLOWEEN PARTY - プペル Ver. -』

配信中
●ツアー情報

「HYDE LIVE 2020-2021 ANTI WIRE」

<日程>
神奈川・ぴあアリーナMM
2020年12月26日(土)OPEN 17:30/START 19:06
2020年12月27日(日)OPEN 15:30/START 17:06

愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2021年1月9日(土)OPEN 17:45/START 19:06
2021年1月10日(日)OPEN 15:45/START 17:06

大阪・大阪城ホール
2021年1月16日(土)OPEN 17:30/START 19:06
2021年1月17日(日)OPEN 15:30/START 17:06

宮城・トークネットホール仙台
2021年1月24日(日)OPEN 17:45/START 19:06

東京・東京国際フォーラム ホールA
2021年1月30日(土)OPEN 17:45/START 19:06
2021年1月31日(日)OPEN 15:45/START 17:06

福岡・福岡市民会館 大ホール
2021年2月7日(日)OPEN 17:45/START 19:06

北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
2021年2月13日(土)OPEN 17:45/START 19:06

※今回の公演は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、全席指定・着席観覧とし、会場収容人数の50%を上限にチケット販売を実施いたします。
※オフィシャルグッズ販売については、通常の販売形態ではなく、事前にご注文を受付し、当日会場で商品をお渡しする形で実施を予定しております。通信販売については未定です。
公演開催に関しては、今後の政府の基本的対処方針などに基づき、必要に応じて公演の中止・延期の対応を行う場合があります。
※開場/開演時間は予定です。変更となる場合があります。
※お住まいの地域からできるだけ近い会場へのご参加をお願い致します。
※2021年1月16-17日 大阪城ホール公演にご来場の方は、会場が指定する「大阪コロナ追跡システム」への登録が必須となります。システムの特性上、公演日当日にご登録いただきます。


提供:UNIVERSAL MUSIC
企画・制作:ROCKIN’ON JAPAN編集部