この日のトップ・バッターを務めたのは、THE STARBEMS。ゴスケこと後藤裕亮(G)にとってはベムズでのラスト・スタンドとなるステージだが、菊池篤(G)が登場するなり煽りまくる“MAXIMUM ROCK’N'ROLL”からして、湿り気は一切なし。感傷を塗りつぶし焦げ付かせるハードコア・サウンドは、まるでオーケストラのように豪快に美しく響いていた。「言うまでもないけどさ、ひとつの事を15年やるってのは大変だよ!」「でも、STARBEMSは死ぬまでやるぞ!」と声を上げる日高央(Vo)である。その直後には、ザ・ブルーハーツ30周年記念ベストのトリビュート・ディスクに収められていた“チェインギャング”のカヴァーだ。雄々しいハーモニーにまみれ、ダカさんは思いを確認するように歌詞をがっつりとオーディエンスに委ねる。笑いあり涙ありのすべての人生をセレブレイトするような“Sweet Nothing Blues”では、ゴスケが前線に躍り出て思う様ギターを掻き毟る。とてもベムズらしい、熱く男気溢れる別れの形を見せてくれた。
2組目には、THE BACK HORNの4人が登場。菅波栄純(G)のギター・フレーズと山田将司(Vo)の歌声がマントラのように渦を巻く“雷電”で、生命の神秘性にタッチしながら場内を一気にバクホン色に塗り替えるさまが圧巻だ。松田晋二(Dr)による挨拶は「この3バンドで、音楽は素晴らしいぜ、ライヴは素晴らしいぜってのを証明したいと思いますんで」と簡潔だが、4人の音像はすぐさま一体の怪物のように蠢き出し、スペシャルな時間を育んでくれる。「今日は3月9日。あと2日で、東日本大震災から4年が経ちます。この曲を歌わせてください」と山田が告げて披露された“世界中に花束を”は、あの頃の痛みや決意を何度でも鮮明に呼び起こす、合言葉として成長し続けるナンバーだ。岡峰光舟(B)のエキサイティングなフレーズが駆け抜けるクライマックスは、“コバルトブルー”に“戦う君よ”といった、触れる者の生命にダイレクトに問いかけるキラー・チューン群。直情的にしてドラマティックなステージであった。
さてこの後、スクリーンにはプロフェッショナル修斗の熱戦が映し出される。「MOBSTYLES 15th Anniversary TOUR "FIGHT & MOSH"」は、今後ライヴ・ツアーとして名古屋(3/11)、京都(3/12)、大阪(3/14)、広島(3/15)、福岡(3/17)、そしてファイナルの沖縄・石垣島(4/18)と日程を控えているのだが、15周年企画を締め括るのは5/3後楽園ホールのプロ修斗公式戦なのである。田原氏はここで、当日メイン・イベントを繰り広げる予定の神酒龍一選手と菅原雅顕選手ら、各階級の総勢12名を呼び込んで紹介。MOBSTYLESサポートファイターのマモル選手は「今日のライヴに負けないくらい、選手一同頑張りますので、応援よろしくお願いします」と挨拶し、会場を沸かせてくれた。
そしてトリを飾るのは10-FEETだ。TAKUMA(Vo・G)は「お前らがいい奴とか悪い奴とか、お前にどんな明日があるとか、お前が何を引き摺ってるとか関係ねえ! 全員かかってこい!!」と執拗に煽り、“4REST”に“RIVER”、“focus”と、揉みくちゃのオーディエンスから歌声を攫うナンバーを連発。コミカルに弾けるメッセージ“MOB ~45 BOMBSTYLE~”は、長年に渡るMOBSTYLESとの共闘をこの15周年に刻み付ける。「MOBSTYLESが15周年!? うるさーい!! 30周年……80周年やろう! 面白いから何度もやろう!!」と昂ったままの祝福も勢い余っていて最高だ。激烈エモーショナルな“その向こうへ”の後TAKUMA は、「何かをやり遂げたときに思い出すのは、ハッピーなことではなくて、嫌だったり辛かったり理不尽だったりしたこと」「音楽のいいところは、嫌なことを忘れさせてくれるところでもあるけど、思い出したくもないことと向き合わせてくれるところでもあるんや」と語り、“蜃気楼”に向かっていった。アンコールでは「これ、リオン(武選手)のフェイントやから、気をつけろよ」と腕を振りかぶって上半身をシェイクするモノマネをして傾れ込む“2%”。日々の反骨精神と、全身全霊のエンターテインメントとの歯車が噛み合った、見事なステージであった。(小池宏和)■セットリスト
<THE STARBEMS>
01.MAXIMUM ROCK’N'ROLL
02.LET LIGHTS SHINE
03.Working Youths
04.Vanishing City
05.チェインギャング
06.Burning Heart
07.HUMAN RIGHTS
08.Sweet Nothing Blues
09.THE CRACKIN’
10.DESTINY
<THE BACK HORN>
01.雷電
02.サニー
03.罠
04.生命線
05.世界中に花束を
06.ビリーバーズ
07.コバルトブルー
08.戦う君よ
<10-FEET>
01.4REST
02.RIVER
03.focus
04.MOB ~45 BOMBSTYLE~
05.1sec.
06.その向こうへ
07.蜃気楼
08.goes on
en.2%