WHITE ASH@新木場STUDIO COAST
2015.04.25 18:00
王道、なのに新しい。ギターロックバンドの手本のような音を掻き鳴らしながら、そこに古さは一切感じられない。王道は王道のままで時代に合わせて更新されていくものなのだなと、WHITE ASHの音楽を聴いていると心底思う。そんな彼らの最新バージョンともいえる3rd フルアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』を引っ提げたツアー「WHITE ASH One Man Tour 2015“DARK EXHIBITION”」のファイナルが、新木場STUDIO COASTで行われた。「僕らあんまりライブをしないバンドなので…」とのび太(Vo・G) が言うように、アルバムを引っ提げてのワンマンツアーは実に1年振り。こんなにかっこいいのにライヴをしないなんてもったいない!と思わず声が出そうになるほどにライヴバンドとしても熟成している彼らの、集大成ともいうべき渾身のアクトとなった。
立っているだけで汗をかきそうなほどの熱気に包まれた会場に、暗転と同時に踏み鳴らされた“Orpheus”の剛(Dr)の力強いバスドラのキックに合わせてハンドクラップが起こり、その上にのび太の艶っぽい歌声が乗る。そしてそこに被さるように山さん(G)の警報音のような痛烈なギターフレーズが掻き鳴らされた瞬間、ステージを覆っていた薄く黒いカーテンがバッと落ちる。そんなダークで劇的なスタートを切り、次曲“Just Give Me The Rock ‘N’ Roll Music”を隙なく畳みかける。重厚な雰囲気のなか「初めまして、WHITE ASHです!」というのび太の挨拶からの「僕普段は晴れ男なんですけど、今日は天気までダークブラックな感じになってしまっているんですが、それもきっと、ファイナルにぴったりな……うん、まぁ晴れたら良かったよね!」とのMCで、会場には柔らかい笑いが起こった。スリリングでスタイリッシュな楽曲群と、のび太の人柄が滲む優しく謙虚なMCとのギャップがたまらない。そして「今日は久々のワンマンということでたくさん曲をやりますので、最後まで楽しんでいってください」と話すと、“Xmas Party Rock Anthem”“King With The Bass”を情熱的に歌い上げる。4人が刻むリズムの節々や自由なプレイスタイルからは、往年のロックンロールを敬愛し尊重する彼らの信念が垣間見える。80年代UKロックを彷彿とさせる懐古感も抱きつつも、シンプルかつ大胆にWHITE ASH色に染め上げてられた楽曲に合わせてフロアが大きく揺れて共鳴する様は圧巻だった。
そして、ステージが真っ青な照明に包まれ静寂と化した会場の空気が“Zero”のソリッドで痛烈な山さんのギターフレーズで切り裂かれ、続く“Ray”のエフェクトの効いたギターの不協和音で歪む。そうして会場の空気を掌握した4人は、彩(B)の重厚で艶やかなベースソロが引き連れるダンサブルナンバー“Thunderous”や、甘いラブソング“Would You Be My Valentine?”で、楽曲毎に雰囲気を自在に変化させていく。そんな空気感を再度ほっこりしたものにさせたのは、ワンマンツアー恒例となった山さんのMCだった。山さんが人生で初めて訪れたライヴハウスがArctic Monkeys公演の新木場STUDIO COASTであったという思い出話から、その際フロアでの外国人ファンとの接触で奥歯を損傷していたことを暴露。「みんなも歯を折らないように、怪我なく楽しんで」と締めくくり、いざ後半戦へ。真っ赤な照明に彩られて投下されたシリアスナンバー“Casablanca”や、ポイントで挟まれる変拍子や空白の間が至高の“Crowds”を経て、「最後はスペシャルなものにしたいなと思い、CDとは違うツアーファイナルバージョンとして、最後にこの曲をお届けしたいと思います」と、ラストの“Gifted”をヴァイオリンを交えた特別編成で演奏。楽曲の世界観をより美しく荘厳なものに昇華させ、暗闇に一筋の光が差し込むような神秘的な楽曲観を色濃くした。本編からアンコールに至るまで、一瞬の緩みもなくWHITE ASHらしい孤高のロックを奏で上げた最高のツアーファイナルだった。(峯岸利恵)