ロッキング・オン主催のオーディションプロジェクト「RO JACK」──CDJの舞台を目指し、音楽ジャンルを越えて8組が熱戦を繰り広げたFINALライブをレポート!

Photo by 郡元菜摘
超大型オーディションプロジェクトとして今年夏に約5年ぶりに再始動を果たしたロッキング・オン主催の「RO JACK」。再始動後2度目の開催となった今回はユニバーサル ミュージックをパートナーレーベルに迎え、COUNTDOWN JAPANへ向けた冬開催としては史上最多を更新するエントリー数に達しました。数々の選考とFINALライブを経て、the BL00M、Awesome Brothers、ファジーデイズの3組が「RO JACK」優勝アーティストに輝きました。

ミニマムな2人編成ながらスケール感のあるサウンドを響かせた双子バンドTyrkouazや、LAで結成されたクリエイティブ集団VIDA Hollywoodなど個性豊かなファイナリストによるFINALライブは、音楽ジャンルの垣根を越え、濃密でスピード感のある唯一無二のエンターテインメントとしてこの日にしかない熱狂を生み出しました。その中でthe BL00Mの平均年齢16歳という若さを感じさせない完成されたポップセンス、Awesome BrothersのHIPHOPの枠に留まらない圧倒的なメロディのパワー、ファジーデイズの未完成ながら希望を感じさせる儚くも伸びやかな歌声が優勝の栄冠を手繰り寄せる結果になりました。「RO JACK」としてそれぞれに異なる個性を持った3組の可能性に懸け、音楽シーンの主役を担うアーティストへの出発点として、COUNTDOWN JAPAN 25/26のステージから大きく羽ばたかせていきます。そんな期待の優勝アーティストが決定した大白熱のFINALライブの模様をお届けします。(RO JACK製作委員会)

文=ソノダマン


①the BL00M

Photo by 郡元菜摘
トップバッターは愛媛の6人組バンド、the BL00M。ビートボックス担当のKUPPOが在籍するという編成も他にない斬新さだが、平均年齢16歳という若さに驚かされるのは、もう何年もずっとライブをやってきたようなグルーヴを発揮するR&Bやヒップホップサウンドを鳴らしているから。AYATO(G・Vo)が「RO JACK!」と叫んで観客を煽り、一気に熱を帯びていくアウトロのセッション的な演奏からも、年齢がなんの意味もなさないことを示していた。

●セットリスト
01. YUKI
02. Under the moon

②Tyrkouaz

Photo by タマイシンゴ
2番手はsouta(G・Vo)とrent(Dr・Cho)の双子によるTyrkouaz。ともに首元にゴーグルをかけているという出で立ちも目を引く。rentが思いっきりドラムを叩きながら立ち上がり、デジタルも融合したビートを鳴らすと、soutaは轟音ギターを鳴らしてエフェクトをかけたボーカルを響かせる。ロックバンドにおける最小編成のふたり組であるが、そこに足りないものは全くない。むしろそのサウンドは、未来の音楽であるとすら感じた。

●セットリスト
01. Windy Surf
02. REBOOOOT

③徒然書簡

Photo by 郡元菜摘
3番手は一転してコンポーザー2名とバンドメンバー5名による大人数編成のバンド、徒然書簡。米内丈瑠(B)やshion(G)の、ファンクやミクスチャーの要素を感じる演奏技術の高さは、バンドが持つロックさとポップさを両立させるためのもの。そしてkuu(Vo)の身振り手振りを含めた歌唱からは、バンド名からもわかる通り、日本語の歌詞を大事にしていることが伝わってくる。“暗中模索”のメロディが頭から離れない。

●セットリスト
01. 暗中模索
02. 絶唱

④T.O.C.A

Photo by タマイシンゴ
リスナーのSNS投稿の盛り上がりによるプラスワン選考枠で出場権を勝ち取ったのが、秋田のスリーピースバンド、T.O.C.A。同期を使いながらもストレートなロックサウンドがダイレクトに響く。結成11年という長い歴史を持つバンドだからこそ、船木航(G・Vo)がMCで語っていた、ここに連れてきてくれたファンへの感謝とライブハウスで積み重ねてきた熱量、この日で人生を変えてやるという覚悟がそのサウンドに確かに乗っていた。

●セットリスト
01. ポップどうぞ
02. 人生はスキャット

⑤ザ・ダービーズ

Photo by 郡元菜摘
折り返しの5番手はザ・ダービーズ。ダービーを名前に冠していることからも明らかな、ひたすら疾走しまくるロックを鳴らす4人組。とにかく前のめり、聴いていたら走り出したくなるような衝動の炸裂っぷり。10分に3曲を詰め込むところにも、全力で走るしかないという無垢さが表れている。最後に後藤文音(Vo・G)がステージに倒れ込んだのも、思考や戦略よりとにかく衝動。こんなバンド、今の時代なかなかいない。

●セットリスト
01. トワイライトシティにて
02. ディストーション
03. トランジスタラジオ

⑥ファジーデイズ

Photo by タマイシンゴ
こちらも4人組バンドのファジーデイズ。メンバーの鳴らすゆったりとしたサウンドが徐々に大きくなっていく。それは、優斗(G・Vo)の澄んだ歌声がキャッチーなメロディとリズムに乗って《「何してる?」って聞いたら/「愛してる」って返してね》というキラーフレーズから始まる“呪い愛”の最後のサビでもそう。1曲の中で確かな物語を作ることができるバンドだということがわかる。そして、ロックバンドは特別なことをしなくても、まだ新しいことができるのだ、ということも。

●セットリスト
01. この恋の名前は知らない
02. 呪い愛

⑦VIDA Hollywood

Photo by 郡元菜摘
ステージの様相がガラッと変わるのは芦澤万紀(Vo)とクリエイター3人によるVIDA Hollywood。芦澤が英語で挨拶したのも含めて、まるでアメリカのクラブの中にいるかのような雰囲気になるR&Bサウンドだが、ギターふたりとDJという編成によってロックさも確かに感じられる。芦澤が手を振りながら歌えば客席にもそれが広がっていく、そんなオーラを既に持っている。

●セットリスト
01. Shibuya Crossing, JPN
02. アイスコーヒー
03. Feel The Love

⑧Awesome Brothers

Photo by タマイシンゴ
あっという間の最後のアクトは7人組ヒップホップクルー、Awesome Brothers。6人のMCはラップだけではなくメロディアスな歌モノも歌えたり、短い時間の中でもそれぞれの歌唱のスタイルの違いが明確にわかる。何より、誰かが歌っている時に他のメンバーが観客を煽りまくるスタイルは一気に会場の空気を変えてしまう力を持っている。そんな強みを確かにグループが自覚している。

●セットリスト
01. What's Going On
02. HERO
03. Shake your body now


優勝を果たしたのは驚いていたthe BL00M、喜んでいたAwesome Brothers、泣いていたファジーデイズというリアクションもバラバラだった3組。その3組がCOUNTDOWN JAPAN 25/26のステージに立つ。でもそこはゴールではなくて始まり。RO JACKの物語も、優勝できなかったアーティストたちの物語も続いていく。また夏のRO JACKでこうやって新しいアーティストとの出会いがあって、一瞬に命をかけるライブを観ることができますように。

優勝:the BL00M(Photo by タマイシンゴ)
優勝:Awesome Brothers(Photo by タマイシンゴ)
優勝:ファジーデイズ(Photo by タマイシンゴ)