RIP SLYME @ 日本武道館

RIP SLYME @ 日本武道館
ニュー・アルバム『JOURNEY』のリリース・ツアーのファイナル、日本武道館2デイズの2日目。RYO-ZのMCによると、このツアーの19本目の今日は、武道館での14回目のライブになるそうです。
で、私、リップのライブ観覧歴、それなりに長いつもりですが、その中でも特にスペシャルなライブでした。えっらいよかった。21曲目の“JOINT”ではないが、「マジやばいくらいいいぜ」だった。
っていつもいつも書いてる気もするが、ほんとによかったんだからしかたない。以下、箇条書きにします。

●既にあちこちで報じられている通り、今回は生のバンド「JOURNEY ALL STARS」を率いてのツアー。アンコールの2曲だけFUMIYAのDJのみで、あとはすべてバンドの生演奏でした。編成は、ギター×2、ベース、ドラム、パーカッション、キーボード、ホーン×3、女性コーラスの10人編成。
そもそもの提案はFUMIYAだそうです。ツアー3週間くらい前から、FUMIYAとSUさんがバンドと一緒にライブ・リハをスターとして、ある程度できあがってからメンバーが加わったそうです。
FUMIYAはわかるけどなんでSUさんも? と思われるでしょうが、リップの中における「ライブ担当」が彼だからです。なお、演出面、凝ってはいるけどシンプルで、基本的にリップとバンドの肉体で場をひっぱっていくライブでした。考えたら、初めてSHIBUYA-AXでワンマンやった時、既に特効(スモークだったような気がする)を仕込んでいたような人たちなので、このシンプルさはかなりのトライアルかも。そのトライアル、大成功してました。

●で、バンドになるとどうなるのか。FUMIYAがヒマになるのです。あたりまえだけど。というわけで、スクラッチを聴かせる曲もちょっとあったけど、ライブの大半は、DJブースの向かって左に設置したパーカッションを叩いたり、ギターを弾いたり、時にはキーボードやドラムのところに行って演奏をじゃましたり、4MCと同じ振りつけで踊ったり、色々しておられました。ライブでこんなに楽しそうにニコニコしてるFUMIYAを観たの、初めてかも。と、ちょっと思いました。

●ゲストは2組。まず8曲目“Watch out!”に、CDでも参加しているJUNGLIST YOUTHの2人が登場、一緒にラップ。もう1組は16曲目、「このツアーで、今日が初めてやるチューンです」というRYO-Zの前置きで始まった“Here comes the hero”で、トータス松本登場! ap bank fes.を観た人から「坊主になってた」ときいたけど、そのとおりでした。途中で帽子をとって、スタンドにそれを見せてました。トータスがステージの両端まで行く度に、スタンドがどかーん! と沸く。すげえ歌とすげえ存在感でした。なお、歌だけ歌って、さっと帰りました。

●2回目のMCの時、PESが「そういえばホームページで見たんだけど、今日結婚する人がいるんだって」と言い出す。『FUNFAIR』のツアーで知り合って、このたび結婚だそうです。「今日ここに来てるんだって。どこ?」と客席にきいたら、下手のスタンドにいて、「あ、あそこ? おめでとう!」と、満員の武道館で大拍手、という心温まる光景に。
しかし。「お幸せに!」とか「離婚すんなよ!」とかメンバー、口々に声をかけるが、SUさんが「バツイチになんなよ!」と言った瞬間に他の3MCが声を揃えて「おまえが言うな!」。一同爆笑。声を揃えて上島竜兵に「どうぞどうぞ」と言うヒナ壇芸人たちみたいでした。あまりにもぴったり合ってたので、「リハしたのかな、これ」とすら思いました。

●最新作『JOURNEY』に特に顕著だけど(だからFUMIYAも「このツアーはバンドで」って言い出したんだろうけど)リップの曲って、生でやるのにすごく適している。バンドの編成&音楽性としては、真心ブラザーズのMB’sにちょっと近いんだけど、リップの場合基本的にヒップホップ及びブラック・ミュージックであり、ロック&フォーク方面のニュアンスが入る真心とは異なる。そうするとどうなるか。すんごいグルーヴになるのです。派手で楽しくて喜びに満ちている、どの曲も。頭っから最後までしびれっぱなしでした。特に、18曲目のメドレーがすさまじかった。やられました。

●1回目のアンコールはメンバーだけで登場、なんとそれぞれが楽器の位置につく。ドラムはFUMIYA、ベースはSUさん、ギターはPESとILMARI、RYO-Zはキーボード。で、みんなで♪ジャーン! って音を出したと思ったら、RYO-Zがパーカッションに移動して、プレイし始める。曲は“La Bamba”。歌は持ち回り。PESが歌うとこで気付いたけど、日本語詞、Dragon Ashバージョンでした。
ILMARI曰く、初日の札幌では「♪ジャーン」だけで終わったそうです。すごい成長ぶりだそうです。確かに、各自、演奏が結構サマになっていてびっくりした。特にFUMIYAのドラム、ちゃんとグルーヴありました。カンいいんだなあ。

●2度目のアンコールが終わったあと、PESが一人でステージに残り、MCをした。これ、日替わりで、他のメンバーが残る日もあって、最終日がPESだったようです。今回どういう経緯でこういうツアーをやったのかという解説と、本当にやってよかったという説明と、あとスタッフとお客さんへの感謝の意を、とてもていねいに述べていた。えらく一生懸命だったし、すごく気持ちが伝わりました。ああいうキャラクターのPESが、こういうことをやっているというのも含めて、かなり感動的な光景でした。

●って、感動的すぎて、書いててちょっと恥ずかしいので、最後にいっこだけ。
PES、そのMCの中で、「これが今の僕たちにはせいいっぱい」と言った。これ、『ルパン?世 カリオストロの城』の中で、囚われたお姫様、クラリスに会いに来たルパンが、手品でポンとお花を出して、クラリスにあげるシーンで言う台詞です。限りなく誰も拾えていない雰囲気だったので「俺、拾ったよー」って言いたくて書きました。
そういえばPES、前にもライブで、この映画の台詞を言ってみんなにスルーされてた記憶がある。確か、ラストにクラリスの育ての親のおじいさんが言う、「なんて気持ちのいい連中だ」って台詞だったような気がする。そんなに『カリオストロ』好きかPES。(兵庫慎司)

1.Good Day
2.太陽とビキニ
3.love&hate
4.楽園ベイベー
5.ヒッチハイクガール
6.Rock it!
7.Do it!
8.Watch out! w/ JUNGLIST YOUTH
9.Rocki’n Roll Radio
10.Beauty Focus
11.One
12.黄昏サラウンド
13.JOURNEY
14.Tales
15.STAIRS
16.Here comes the hero w/トータス松本
17.HOTTER THAN JULY
18.メドレー
  雑念エンタテインメント
  STEPPER’S DELIGHT
  BLUE BE-BOP
  GALAXY
19.FUNKASTIC
20.SPLASH
21.JOINT
22.熱帯夜

アンコール
23.La Bamba
24.Good Day(remix)
25.Wonderful

アンコール2
26.マタ逢ウ日マデ(BAND Ver.)
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