京都大作戦2010~今年も子供に戻りな祭~(2日目)@京都府立山城運動公園

「みなさん、ほんとにありがとうございました!」と、終演後の挨拶で深く頭を下げるTAKUMAに魂の大歓声! そして、「あの……ほんとに……みなさんに助けられてばっかりで……」と2万人の前で顔をぐしゃぐしゃにして、ついに大粒の涙をぼろぼろこぼしてしまうTAKUMAに、さらに激励と賞賛と喝采の声が怒濤のように沸き上がる! 「雑誌の人とかラジオの人とか……出演者の人とか……『京都大作戦すごいですね』って言われて。でも、全然俺ら何にもしてなくて。台風あって、次の年おんなじスケジュール空けてくれて、その次の年もみんな出てくれて……ほんまに何にもしてなくて。『お願い』してるだけなんです。ギャラは払ってるけど。(スカパラの)谷中さんも言うてはったけど、『京都大作戦』がすごいのは俺らがすごいんじゃない、お客さんがすごい!」……そう、TAKUMAならずとも、『京都大作戦2010』2日目は、ここ宇治の山に集まったオーディエンスの無尽蔵のエネルギーに改めて驚かされた。そして、それは取りも直さず、出演者と観客が一丸となった固い信頼関係が生んだものであり、10-FEETとの熱い絆が生んだものでもある、ということだ……ということが明らかになった1日だった。

明け方から降ったり止んだりを繰り返していた雨は、10:45頃にバケツをひっくり返したような豪雨に変わり、開演直前までのたった30分間でメイン・ステージ「源氏ノ舞台」のフィールドは泥の海に。結局『京都大作戦』2日目は1日中、「台風で中止」とかにならない範囲ではおそらく最悪のコンディションの中で行われることになった。しかし、豪雨の中でもステージ前には観客が今か今かと開演を待ち続けーー11:30、いよいよ2日目開幕! 「今日は午後になるにつれて降水確率が高くなってます。でもそれが何?」と、開会宣言で上半身裸でスピーカーによじのぼり、たまっていた水で顔を洗ってみせるTAKUMA。「『京都大作戦』はな、台風乗り越えてきとんねん!」。うおおおおお!という雄叫び。2日目、作戦開始!

「下が濡れてるとか関係ねえ! 『京都大作戦』は始まってんだあああ!」「子供に返って、笑顔で帰れ!」というJoseの闘魂あふれるMCとアグレッシブな爆音で、フィールドにいくつも台風級のサークルを生み出したTOTALFAT。「こんな最高の遊び場を用意してくれた10-FEETに感謝します!」とハイパーな轟音を連射し、KOJIMA/SATOSHIにTAKUMA(胸に「山嵐」&背中に「嵐山」とでっかく書いてた)を加えた3MCでキッズを沸かせ、さらにサイプレス上野やLeyonaを次々にゲストに迎えて魅せまくった山嵐。「みんなの熱気に負けないように、最初から飛ばしていくんでよろしく!」(GAMO)「闘うように楽しんでくれよ!」(谷中)と、雨の宇治をエネルギーあふれまくりのダンス天国に変えてみせた東京スカパラダイスオーケストラ。タテノリで揺れまくってきた「源氏ノ舞台」をゆったりヨコに揺らしつつ、「私が尊敬する、日本が生んだソウルマン・忌野清志郎さんが書いてくれた曲やるよ!」と“ダンスミュージック☆あいつ”まで披露したLeyona……降ったり止んだりをなおも繰り返す天候の中、いやこういう天候だからこそ、宇治に集まった2万人のオーディエンスは自分たちの気持ちの赴くままにがっつり音楽を楽しみまくっている。一方、「牛若ノ舞台」にはTHE 冠/LABNET/BURNING SIGN/coldrain/サイプレス上野とロベルト吉野/HEY-SMITH/EGG BRAINといった血気盛んなラインナップが結集、時に「あわや入場規制?」という盛り上がりを見せていた。

“Right Now”“Try My Luck”など速射砲のように繰り出されるdustboxの楽曲に、渾身のクラップと歓声で応える2万人のずぶ濡れオーディエンス! 「このイベントで、『不可能』ってことはないってわかりました! 自分の中から『不可能』って言葉を消せー!」という言葉が、さらにみんなを歓喜の果てへと押しやっていく。ステージ開演後ではこの日最も強い雨が降ったのはDragon Ashの時。それでも、「『京都大作戦』に咲いたFreedom~」「10-FEETに咲いたFreedom~」と“運命共同体”の歌詞をアレンジして2万人の魂を震わせ、「京都調子どうだ?」「ぶっとんでこい!」「とびはねろー!」とさらに煽りまくるKj。豪雨の中で炸裂した“Ambitious”のプレシャスな狂騒感に、モッシュピットはそれこそ湯気が出るまで踊り倒す! そして、「お前たちが熱すぎるから、神様が雨を降らしてくれたんだよ!」(若旦那)「今日どんだけ楽しみにしてたか、その身体とタオルで示してくれよー!」(HAN-KUN)といちいち心を鷲掴みにしながら「源氏ノ舞台」を一大タオル風力発電所に変えてみせた湘南乃風! “睡蓮花”の「濡れたまんまでイッちゃって!!!」大合唱すら、どこか誇らしげに響いている。

そして2日間の大トリ、10-FEET! “super stomper”“4REST”と連打されるどの曲も、もはやすべてが最高のアンセムとして響く。またも降り出した雨をものともせず熱く沸き上がるオーディエンスを「まだまだ足りねえぞ!」「ただじゃ済まさねえぞ!」と煽り、「最高や! 終わってほしくないよ!」「帰りたくねえよー!」と絶叫するTAKUMA。「みんなとやったら、一緒にやっていけると思います! ケンカも、恋愛も、ライブも、『京都大作戦』も、相手がおらんとできひんねん!」という熱い叫びに、満場の観客が怒濤の歓声で応える! “RIVER”ではKjがステージに登場、「俺の大好きな、そしてみんなの大好きな10-FEETに、1個プレゼントを用意しようぜ! 照明さん、全部消して!」というKjの声とともに、2万人ケータイ・キャンドルが出現! 

さらに、1曲だけ演奏されたアンコールはブルーハーツ“TRAIN-TRAIN”カバー! 最後は袖に控えていたミュージシャンがどどっとステージに躍り出て、魂の大団円! 最悪の天候にも負けなかった『京都大作戦』2日目ーーそんな奇跡の1日のフィナーレに相応しい、あまりにも感動的な瞬間だった。そんな1日だったからこそ、冒頭にも書いたように、思わずTAKUMAも男泣きせざるを得なかったのだ。「これからもずっと続けていきたいんで!」とNAOKI。「お前らの気持ちはようわかった! 感謝の言葉もありません!」とKOUICHI。2万人の一本締めでもって、『京都大作戦2010』、終幕!

以上、京都からお伝えしました。各アクトの内容も含めた詳細な記事を7月30日発売『ROCKIN'ON JAPAN』で書きますのでお楽しみに!(高橋智樹)
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