「東京、久しぶり!」と空を割るようなあの声でチバが叫び、キュウちゃんがすかさず「久しぶりです、The Birthdayです! 40本のツアーの39本目ということで……ツアー中に全員1歳年をとりました!」と語れば、Zepp Tokyoびっちり満員のオーディエンスから沸き上がる怒濤の「おめでとう!」大歓声!……そう、4月3日・横浜ベイホールから足掛け4ヵ月にわたって行われてきたThe Birthdayの全国ツアー『STAR BLOWS TOUR』もいよいよセミ・ファイナル、7月28日の沖縄公演を残すのみとなった。ちなみに、ツアーがキックオフした4月3日にキュウちゃんことクハラが誕生日を迎えて以降、ヒライは6月20日・水戸LIGHT HOUSE、イマイは7月9日・Zepp Fukuoka、チバは7月10日・Zepp Osaka公演の日にそれぞれ誕生日を迎えている。余談ですが。
ステージ中央に立ち、右手を高々と掲げるチバの姿に、待ちかねた観客のうおおおおおという魂の絶叫大歓声! そして、キュウちゃんのヘヴィなタム回しから“6つ数えて火をつけろ”の爆裂ビートでいよいよキック・オフ! そこから“ディグゼロ”“The Outlaw's Greendays”“風と麦とyeah! yeah!”と『STAR BLOWS』の楽曲を連射! それにしても、『STAR BLOWS』の曲の図太いスケール感にはいちいち驚かされる。それも、「この曲はヘヴィな音にしよう」とか「どでかいスケールの曲にしよう」とかいうサウンド・デザインやミックスやエフェクトやギミックによってではなく、ロックンロールをひた走る楽曲と4人のプレイとチバの歌の力だけでもって破格の熱量と広がりを持ってしまっているところに、震えるほどの衝撃と感激を覚える。“ディグゼロ”で文字通りゼロの先の世界をえぐり出そうとも、“ダンスニスタ”で《行こうぜベイビー 果てなんて無いぜ》と悦楽の先へと突き進んでも、珠玉のハード・バラード“ピアノ”が凍てついた風景を描いていても、そこにはがっちり頼もしいロックンロールの体温があるし、集まったオーディエンスとともに「その先」の次元へ向かうための確かなバイブレーションがある。
歓声と高揚感あふれまくりの序盤の展開も嬉しかったし、今やThe Birthday最強のアンセムと化した“愛でぬりつぶせ”で未曾有の狂騒感を生み出し“SUPER SUNSHINE”で真っ白にスパークした終盤の流れも、超重量級の破壊力と爆進力に満ちた最高の時間だった。が、前述の“ピアノ”から、チバのシンプルなコード・ストロークが織り成す“リトル・リル”のメランコリックな景色、さらに“BABY 507”のヘヴィにひきずるリズムへと流れ込んでいく中盤の構成には、それこそサイケデリックの森の奥にロックンロールのビートとともに分け入っていくような、あるいは内なる暗黒をえぐり出して鮮烈なロックンロールの閃光に曝そうとするような、妖気にも近い切迫した空気感を感じたし、ほとんどの人が身動きも忘れてその歌と演奏に聴き入ってーーいや観入っていたのが印象的だった。かと思えば、いざMCになると「海行った、海? 俺は……見た(笑)」とか「今日は海の日……です。ハッピーマンデーでしょ?」となぜか唐突に海の話ばっかりしているチバも、なんだからしくてよかった。シリアスなロックンロールを日本のシーンのど真ん中でぶん回しながら、常に我が道だけを邁進することで、時代性もトレンドも凌駕するサウンドスケープへと到達したThe Birthday。この日のアクトはまさに、そんな彼ら4人の現在地を粛然と指し示すものだった。
約2時間の本編の後のアンコールは、会場一丸情熱だだ漏れ大合唱の“涙がこぼれそう”&カオティックなほどの盛り上がりを見せた“Nude Rider”! さらにダブルアンコールは“ローリン”! 曲が終わりに差し掛かってやっとギターを背負うまで、チバはずっとハンドマイクでステージをのし歩いて歌い散らしながらブルースハープを吹きまくっていた。そう、あの「歌い散らす」という言葉がぴったりくるチバのマイク鷲掴み絶唱姿に、思わず胸熱くしたミッシェル時代からのファンも少なくなかったはずだ。ロックンロールの強度と深度を観る者すべてに提示した最高の2時間半は、こうして幕を閉じた。直前の公演=Zepp Osakaから大きくセットリストを変えてきていたので、おそらく沖縄ファイナル公演は今日の内容とはひと味もふた味も違ったものになることだろう。そしてーーその後はROCK IN JAPAN FES. 2010初日=8月6日に出演!(高橋智樹)
[SET LIST]
01 6つ数えて火をつけろ
02 ディグゼロ
03 The Outlaw's Greendays
04 風と麦とyeah! yeah!
05 Hey Johnny
06 ダンスニスタ
07 マディ・キャット・ブルース
08 シャチ
09 ピアノ
10 リトル・リル
11 BABY 507
12 GILDA
13 グロリア
14 マスカレード
15 FREE STONE
16 カレンダーガール
17 あの娘のスーツケース
18 愛でぬりつぶせ
19 SUPER SUNSHINE
EC1-1 涙がこぼれそう
EC1-2 Nude Rider
EC2-1 ローリン