J-POPや渋谷系ポップが全盛で、真にロックなバンドの新たな系譜が久しく途絶えていた時期に突如現れたのがミッシェル・ガン・エレファントだった。そこから僕は取り憑かれたように何度も彼らにインタビューし、特にチバには長い時間に渡って食い下がるようなインタビューを何度も試みて、そのすべてをJAPANのページに刻んできた。
ミッシェルが登場したことで、日本の音楽シーンは一気にロックの色に染まっていった。だがべつに、ミッシェル以外に多くのロックバンドが登場して盛り上がったわけではない。ミッシェル・ガン・エレファントという一つのバンドの力で、それが起きたのだ。当時を知っている人には、それはわかるだろう。とてつもないバンドであり、事件ですらあった。
チバはその時、自分たちがやっていることの意味を「理解」することをとても拒んでいた。頭も感性もずば抜けていい人だったから、自分たちが体現している「新たなロック」の意味をわかっていたはずだが、そのことを意識することを避けていたし、言語化しようとするとそれを振り払った。だから、インタビューは大変だった。でも、だからこそ燃えた。
あるとき僕が諦めて表面的なインタビューをしていたら、「なんだよ、なんか今日は言葉が来ねえな」と言われたことがあった。僕なりの懸命な言語化作業を、チバなりに受け取ってくれていたんだな、とその時思った。それからはまた遠慮なくチバにインタビューで食い下がることにした。
ミッシェルがやっていたことを言葉にしようとするのは、ロックというものを言葉にしようとするのと同じ無謀なことだった。そして、ミッシェル・ガン・エレファントもまた、ロックそのものであろうとする無謀な試みだった。だが、なんと彼らはそれを実現してみせた。今思ってもやはりそれは奇跡と呼んでいい。
その後のROSSO、そして言うまでもなくThe Birthdayにおいてもチバは全くブレることなくロックであり続けた。この先もずっとそうだったはずだ。それを見たかった。
こんなことをいくら書いていても、まだ何も受け入れられない。
チバ、やすらかに。
今はそう言う以外にない。（山崎洋一郎）
