ORANGE RANGE@Zepp Tokyo

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2010年のORANGE RANGEは、そのキャリアに大きな変革のときを迎えた1年であった。2月にさいたまスーパーアリーナで大規模なワンマン公演を行った後、自主レーベル「SUPER ECHO LABEL」を立ち上げ、これまでのシングル曲を網羅するコンプリート・ベスト盤を置き土産に新しい環境に活動の場を移したのであった。まず配信やレンタルという形で幾つかの新曲を発表し、そして10月には新レーベル初のフィジカル・リリースとなるニュー・アルバム『orcd』を発売。目下、11月から行われている『ORANGE RANGE LIVE TOUR 010-011 ~orcd~』の真っ最中であって、今回は東京・Zepp Tokyo 2日間のうちの2日目をレポートすることになった。というわけで、まだ12/27の札幌、12/29の仙台と連なるライブ・ハウス・ツアーの日程を残している上、年が明けて1月から3月まで行われるホール・ツアーが予定されているので、セット・リストの詳細やライブ内容のネタバレについては控えさせて頂くのだが、ザックリとした印象で言えば『orcd』のバラエティに満ち満ちた楽曲群、プラス、ヒット曲を散りばめながらも半ばマニアックと言えるようなナンバーまで含めて、インディーという活動の場に身を置いて、より動きが軽やかになった部分を存分に見せつけるような、極めて自由でエネルギッシュなステージであった。これはもう何というか、「ショウを観ている」というよりもローラーコースターのような「アトラクションを体感している」という印象の、音量とか振動とか展開のスピードとかグダグダな笑いとか感動的な物語とかを全身で味わう、総合的なエンターテインメントになっているのだ。いや、やっている本人たちがどれだけ自覚的なのかは知らないが、少なくとも観ている側にとってはそういうステージなのである。ここぞというときにHIROKIが吐き出す爽快なメロディー・ラインと、聴く者の神経をダイレクトに昂らせるYAMATOのハイトーン・ボイス、そして四肢で楽曲のグルーヴをがっちりと捉えながら甘くどっしりとした手応えの声を届けてくるRYO。この3人のマイク・リレーが楽曲においてもMCにおいても巧みに活かされ、パフォーマンスをカラフルなものにしてゆく。一方で、複数の機材を巧みに操りながら多彩なギター・ワークを披露するNAOTO、うねりまくりときにスラップされる雄弁なベース・プレイにすべてを語らせ、黙々とグルーヴを支えるYOH。それにダイナミックなロックからダンサブルなナンバーまでのリズムを支えるサポート・ドラマーの桜井正宏。この前線の3人と楽器演奏パートの3人とが明確な役割分担のもとに機能しているというのは、ロック・バンドの形態として非常にユニークだ。上辺だけを見れば、まるで華やかなボーカル・グループとプロフェショナルなバック・バンドのようですらある。しかし、特筆すべきなのは他でもなく、ORANGE RANGEのそのロック・バンドとしての一体感から叩き出されるサウンドとエネルギーなのだから、これは不思議なことこの上ない。レンジ版“スリラー”とも言うべきユーモラスな怪奇譚“ウトゥルサヌ”や、スカ混じりのタイトなチャンプルー・ロック“今夜はtonight”、珍しくNAOTOがすべての歌詞を手掛けたという歌謡テイストの“恋はメリーゴーランド ~世界滅亡ver.~”といった、多彩にもほどがある『orcd』の楽曲群からも分かるように、ORANGE RANGEは生粋のパーティ・バンドである。楽しむためにあらゆる手段を講じるこのバンドが、メジャーのフィールドで培ってきたものこそ、例えばシステマティックな役割分担であったり、巨大会場でもしっかりと楽曲を届けるための繊細さと迫力を併せ持ったアンサンブルであったりするのだろう。楽しむために音楽を利用する、宴の席でパッと楽器を手に取り、歌が歌い出される感じ。そういう「音楽が近い」感覚というのは、現代日本人にはなかなか貴重な感覚であったりもする。街の至る所から、テレビやラジオやインターネットから無限に音楽が流れ出る割に、例えばカラオケボックスのような「歌が公に許可された箱」が用意されないと歌も歌えないというのが、変なところでシャイな現代日本人の一般的な感覚とは言えないだろうか。ORANGE RANGEは「音楽が近い」感じがする。身近なパーティ・ソングを、ごく一握りのミュージシャンだけにしか辿り着けないスケール感のサウンドで、鳴らしてしまう。例によって下ネタを撒き散らしながら、YAMATOは「メジャーとインディーズの違いは……宣伝の仕方とかがちょっと違うだけで……別にない! ないです!」と言っていた。「まあ身軽になったということで個人の活動とか……RYOさんだったら舞台だったりとか、僕だったら講演会とか(笑)……ORANGE RANGEは僕としては楽しむ場だと思ってやっているので、キチ●イみたいなことも言いますけど。やるときはちゃんとやりますよ?」とも。前例のないバンドが、前例のないやり方で国民的なグループに成長を遂げ、そして今度は未知の、新しい種類の自由を手に入れたということ。彼らのライブを観るときに味わう特別な爽快感(例えば、楽しむために迷いなく楽器を手に取って歌い出してしまうような、軽やかに次の確信的な一歩を踏み出す姿の爽快感だ)を、この夜にもやはり感じることができたのだった。ユニークな歌詞とメロディ、次々に切り替わるビート、そしてタフなグルーヴが爆音ミクスチャーの中で一緒くたになり、クライマックスに向けてひたすら上昇線を描き出してゆく最近の彼らのライブは本当に凄い。爆風の余韻の中でステージを去ってゆく彼らの姿は実に清々しく、凛々しいものだ。RYOは「最近、男性のお客さんも多くなって、同性のサポートを得られるようになったことはとても嬉しいです」と語っていた。さあいよいよ2010年末、ORANGE RANGEは年内のツアー日程をこなした後、COUNTDOWN JAPAN 10/11の3日目、12/30のEARTH STAGEに登場予定だ。(小池宏和)
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